3日目を終えた「全米オープン」。現地で取材する月刊ゴルフダイジェストのツアー担当のケンジロウは、スタート前のタイガーの練習に注目。タイガーはティオフ前になにしてる!?

タイガーが練習場で最後に使った番手は……?

こんにちは、ケンジロウです。カリフォルニアのモントレー半島ペブルビーチゴルフリンクスよりお届けしております。

「U.S.オープン」、3日目が終わりました。2日目同様、朝から曇天が続き、気温もほとんど上がりませんでした。選手たちは今日もやはりスコアを伸ばせず、いちばん伸ばせてもダニー・ウィレットの4アンダーでバーディとっても次のホールでボギーを打ったりとなかなか波に乗れない選手が多かったです。

松山英樹選手も7バーディ4ボギー1ダブルボギーで本日1アンダーのトータル1アンダーパー。途中3アンダーまで伸ばして、さらに伸ばせそうな勢いがあっただけに、悔しさが残る3日目になりました。

注目のタイガー・ウッズも5バーディ5ボギーとスコアを伸ばせませんでした。3日目終わってトップのゲーリー・ウッドランドとは11打差。さすがに優勝は厳しいですかね……。

画像: 3日目を終えイーブンパーの27位で最終日に臨むタイガー・ウッズ

3日目を終えイーブンパーの27位で最終日に臨むタイガー・ウッズ

そんなタイガー、試合前にどんな練習をしているのか? 練習を観察するべく密着マークしてみました。タイガーは朝早くから1番ホール横のパッティンググリーンに現れ、その場にいたお客さんたちを大いに驚かせました。スタートの3時間以上前でしたからね。まさかタイガーが来るとは思っていなかったはず。

耳にはイヤホンをあて、足にはスパイクではなくランニングシューズを履き、まさにフラッと練習しにきた様子。スタートまでいてもたってもいられなくなって“球を転がしにきちゃった”という感じでした。

グリーン上でいったいどんな練習をしていたかと言うと、最近タイガーがやっているお決まりのドリルです。ヘッドがギリギリ通るぐらいの幅でティを差して、それに当てないように打ちます。少しでも軌道がズレるとティに当たってしまいます。基本は両手で打つのですが、ときおり右手1本でも打っていました。

今回はその2本のティ以外に、ヘッドの20センチ後方(飛球線後方)にもティを差していました。これはいったいどんな意図があるんでしょうかね。この練習とまったく同じ練習をしていた宮里優作プロに話を聞いたのを思い出しました。

「タップ式で打つような選手はパットの調子が悪いとき、ヘッドが低くインサイドに上がってその後インパクトに向かって外から下りてきて八の字を描くような軌道になりやすいんです。ですからヘッド後方に差したティに当たらないようにいきなりバックスウィングでヘッドを上げることで、ダウンスウィングでも同じ軌道をなぞりやすくインパクトでしっかりとヒットできるんです。手元先行ではなくヘッドの重さで打っていけるんですよ」(宮里)

さて、タイガーは音楽を聴きながらひとしきり球を転がしたあと、いったんどこかに消え、2時間後に打撃練習場に現れました。再びマーク開始。まずはウェッジを手に持ち、小さなスウィングで60、70ヤードぐらいをポーンポーンと打ちます。目標を決めずにいろんな方向に向けて打っていました。しばらくするとボールの横にアライメント用の棒を置いて自分の向きを確認。そしてスウィングを大きくしていきます。

サンドウェッジで20球ほど打ったあと、その次は8番アイアンを取り出すと、こちらはスリークォーターからフルショットまで打ちわけます。さらにフルショットではドロー、フェードと交互に打ち分け。ときに低いドローを打ったり、高いフェードを打ったり、球を曲げるショットの確認をしていました。

画像: 朝の練習場ではSW、8番、4番、5W、3W、ドライバーを練習していた

朝の練習場ではSW、8番、4番、5W、3W、ドライバーを練習していた

全米オープンの練習場ではトラックマンデータが電光掲示板で表示されるので、タイガーの打った球のデータを1球1球確認できます。ドローでだいたいキャリー148~152ヤード。フェードのときはちょっと落ちて143~145ヤードでした。アゲンストの風でしたから、あくまで参考数値だと思って下さい。

8番で15球ぐらい打ったあと、続けて4番アイアンを持ち、同じように球をドロー、フェードと打ちわけます。こちらはドローもフェードも距離は近くキャリー202~205ヤード。トータル10球ぐらい打ちました。

その後は5番ウッドを数球(キャリー245~250ヤード)、3番ウッドも数球(キャリー255~260ヤード)、そしてドライバーを打つ前に一度ヤーデージブックを見てキャディのジョーと何やらゴニョゴニョと相談していました。

画像: ドライバーの弾道はキャリーで280ヤード前後を計測していた

ドライバーの弾道はキャリーで280ヤード前後を計測していた

今日のティの位置でドライバーをどれだけ使うかの確認ですかね。ドライバーはほぼストレートに近いフェードボールで、キャリーは280ヤード前後、初速は176マイル出ていました(メートル/秒で言うとだいたい初速78.6m/sぐらい)。

ドライバーを数球打ったあとは、再び8番アイアンを取り出して左右に打ちわけ。そしてサンドウェッジを数球打ち、もう一度ドライバーを手に取って1球打ち、最後はスタートホールのティショットで使う4番アイアンを1球打って練習終了。

画像: 練習を終え最後に打った4番アイアンを持ちスタートホールに向かうタイガー

練習を終え最後に打った4番アイアンを持ちスタートホールに向かうタイガー

タイガーはいつもスタートホールのティショットで使うクラブで締めるんです。ショットの練習時間はだいたい40分ぐらい。タイガーは、打ち終わった直後の4番アイアンを手に持ったまま颯爽と1番ティへ向かっていきましたよ。

写真/服部謙二郎

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