ゴルフで用いられる計測器はアマチュアが気軽に使えるものから、あらゆる数値を計るためにプロが使うものまで多種多様なものが登場している。その中でもプロゴルファーの計測の時によくに出てくる計測器が「トラックマン」だ。あまりに当たり前のように出てくるため何となくは知っているけど他の計測器とどう違う? 誰が日本で最初に使った? 「今さら聞けないトラックマン」を、どこよりも詳しく説明しよう。

時代とともに進化してきたスウィング分析

ゴルフスウィングについて語る際、いまでは当たり前のように「クラブパス」や「アタックアングル」「打ち出し角」などという言葉が使われているが、こういった概念、用語が浸透した背景には、弾道・スウィング計測器の普及がある。

スウィングを肉眼でしか見ることができなかった時代は、スウィングのメカニズムはプレーヤーの感覚でしか語ることができなかった。しかし、スチールカメラの連写が可能になり連続写真が普及すると、スウィングをコマ割りにして各ポジションの形で説明できるようになり、その後ビデオの普及で動画の撮影が可能になると、スウィングをより細かく分解して分析できるようになった。

画像: 計測器の進化はカメラの進化によって急激に進んだ

計測器の進化はカメラの進化によって急激に進んだ

そして各種計測器が普及した現在では、スウィングのみならず、実際に飛ぶボールの情報も収集できるようになり、スウィングを科学的に分析するのが当たり前の時代になった。

ゴルフで用いられる計測器には、大きく分けると「弾道を計測するもの」と、「スウィングを計測するもの」の2種類がある。前者はボールの初速や飛距離、打ち出し角、バックスピン量などがわかるもので、高速カメラなどを用いてインパクト時のボール情報を採取し、それを元に推測値で飛距離やスピン量などを導き出すものが多い。

一方後者は、ヘッドスピードやクラブパス、ヘッドの入射角、フェースの向きなどがわかるもので、やはり高速カメラでインパクト前後のヘッド挙動を撮影したり、クラブ自体にセンサーを装着して計測するものなどがある。

画像: 計測結果がリアルタイムでタブレットに送られるため自分のスウィングを数値化してすぐにみられる

計測結果がリアルタイムでタブレットに送られるため自分のスウィングを数値化してすぐにみられる

しかし現在最先端の計測器は、2基のセンサーを備え、クラブの挙動とボールの挙動を同時に計測できるものが主流だ。その代表格が、デンマークで生まれた「トラックマン」なのである。トラックマンは、ミサイルを追尾するドップラーレーダーの技術を元に開発され、クラブヘッドの動きとボールの動きを実測し、リアルタイムでタブレットに表示できるというスグレモノ。

ツアー会場でもよく見かけるトラックマン

プロゴルファーが、表がオレンジ裏がグレーの箱形の計測器を、ボール後方に置いているのを見たことがないだろうか。あの箱がトラックマンだ。

トラックマンは、クラブスピード、ヘッド軌道、フェースアングル、入射角、ダイナミックロフト(インパクト時のロフト)、そしてフェーストゥパス(クラブパスに対するフェースの向き)などのクラブデータと、ボール初速、バックスピン量、打ち出し角、打ち出し方向、最高点の高さ、スピンアクシス(回転軸の傾き)、さらにはキャリー飛距離、トータル飛距離、左右ズレなどさまざまなボールデータをすべて実測値で計測できる。

トラックマンの普及は、プロゴルファーのスウィングに対する考え方にパラダイムシフトを起こした。2000年代に欧米を中心に普及し始めたトラックマンは、2013年から日本でも販売を開始した。現在販売されているのは、4代目のモデル「トラックマン4」だ。

画像: オレンジの計測器といえばトラックマンというくらい認知されている

オレンジの計測器といえばトラックマンというくらい認知されている

日本進出当初からトラックマンに関わる日本担当の篠塚佳昭氏によると、日本人で最初にトラックマンを持ったのは、今田竜二プロだろうと言う。

「彼はアメリカでトラックマンを知り、日本に入ってくる前から持っていましたから、おそらく最初の日本人ではないかと思います。このほか、藤田寛之プロ、横田真一プロの2人も、日本で販売を開始する前にアメリカで手に入れて持っていました。日本人の女子選手では、辻梨恵プロが2014年に買ったのが最初ではないかと思います」(篠塚氏)

こういった「意識高い系」のプロを中心に少しずつ広まり、知る人ぞ知るアイテムだったトラックマンが広く認知されるようになったのは、テレビの中継で使われるようになったからだろうと篠塚氏。

画像: ツアー会場の練習場では多くのプロがマイトラックマンを持ち込んで練習している

ツアー会場の練習場では多くのプロがマイトラックマンを持ち込んで練習している

「テレビの中継で、プロが打った弾道が画面に線で表示されるのは、トラックマンのデータを使っているんですが、あれを見て『トラックマンって何だ?』と興味を持たれた方は多いですね。いまではツアープロだけで100人以上は所持していますし、コーチやティーチングプロを含めれば、その倍以上はいると思います。もはや、こういった機器でデータを見ながら練習するのは、世界のスタンダードなんです」(篠塚氏)

トラックマンは1台100万円を優に超える高額機器なため、一般のアマチュアが個人所有するのは難しいが、レッスンスタジオなどには置いてあるところもあり、トラックマンではなくともクラブのデータが取れる機器や弾道計測器を備えた練習場、スタジオなどはある。

アマチュアであっても、そういった機器を活用してスウィングを分析することは、間違いなく上達の近道になる。近い将来、誰もが自分の「クラブパス」や「アタックアングル」を知っているべき時代になることは間違いないだろう。

画像: 【初心者向け】超カンタン!ゴルフスウィングの作り方~吉本舞プロ~ www.youtube.com

【初心者向け】超カンタン!ゴルフスウィングの作り方~吉本舞プロ~

www.youtube.com

This article is a sponsored article by
''.