全米オープンが閉幕し、今週はトラベラーズ選手権が開催される。6844yとPGAツアーでもっとも短いコースを制するのは誰か!? ツアー通算9勝の佐藤信人が注目選手を挙げた。

バッバは通算12勝のうち3勝が「トラベラーズ選手権」

西海岸ペブルビーチでのUSオープンが終わり、今週は東海岸コネティカット州でトラベラーズ選手権が行われます。

1952年にインシュアランスオープンという大会名で始まり、タイトルスポンサーを何度か変えながらも、ずっとコネティカット州の州都ハートフォード近郊で行われてきた地域密着型の大会です。例年2月アリゾナ州で行われるフェニックスオープンの次にギャラリーが入る大会としても有名で、ホスピタリティやコースコンディションなどの評価も非常に高く、2017年、18年と選手が選ぶもっとも好きな大会「プレイヤーズ・チョイス・アワード」を2年連続で受賞しています。

開催コースはTPCリバーハイランド。6844yと現在のPGAツアーでもっとも短いコースで、バーディがたくさん出ますが、優勝が20アンダーを超えるようなことは滅多になく、良いショットには報酬があり、ミスショットには厳しい、非常にフェアなコースという印象です。

画像: 得意なコースで結果を残しているバッバ・ワトソン。優勝争いに食い込めるか注目だ(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

得意なコースで結果を残しているバッバ・ワトソン。優勝争いに食い込めるか注目だ(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

注目選手として、まずはディフェンディングチャンピオンのバッバ・ワトソン。ワトソンは得意なコースと苦手なコースがはっきりと分かれるタイプで、ツアーで12勝を挙げていますが、今大会3勝、ジェネシスオープン3勝、マスターズ2勝と得意コースではめっぽう強いという特徴があります。

今季はここまであまり目立った活躍はありませんが、それでもジェネシスオープンでは15位タイ。マスターズでは12位タイと確実に得意コースでは上位に食い込みました。先週のUSオープンは予選落ちでしたが、得意コースに来ると力を発揮するでしょう。

次にパトリック・カントレー。今大会はカントレーにとって思い出の大会です。アマチュアで参加した2011年大会では第2Rで60というスコアを叩き出し、PGAツアーでのアマチュア最少スコア記録を樹立しました。当時すでにアマチュア界で世界ナンバーワンに君臨していたカントレーはやはり只者ではないと話題になりました。

さらに翌年この大会でプロデビューを果たしました。そのときは予選落ちに終わり、14年にも出場がありますが、その後激しい腰痛や親友キャディの死などでどん底の時期を味わいました。

2年前ツアーに復帰してからは順調に上がってきて、世界ランキング8位というところまで来て、ようやくアマチュアの頃の活躍から想像されていた選手になってきた印象です。トラベラーズ選手権の参加は5年ぶりとなります。先月メモリアルでの優勝もあり、USオープンでは初日の出遅れがありながら、21位タイまで戻してきました。上位争いは必至でしょう。

画像: アマチュア時代に最少スコア記録「60」を出したカントレー。今季2勝目挙げることができるか。(写真は2019年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

アマチュア時代に最少スコア記録「60」を出したカントレー。今季2勝目挙げることができるか。(写真は2019年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

今年まで大学生だったスーパースター候補生、ビクター・ホブランド、マシュー・ウルフ、コリン・モリカワ、ジャスティン・サーという4名が登場します。ホブランドとウルフは今大会がプロデビュー戦になります。この中から今季少ない試合数であっという間にシード権を獲得してしまう選手が複数名出てくるのではと思っています。

この大会は接戦になることも多く、印象に残る名シーンを多く生んでいます。2017年はプレーオフの18番ホールでジョーダン・スピースがバンカーから直接放り込んでの優勝というシーンが記憶
に新しいところです。

2014年の優勝者ケビン・ストリールマンは最終日の上がり7ホール連続バーディーを奪って逆転優勝しました。2016年大会では最終日にジム・フューリックがPGAツアー史上初となる58を出しました。今年はどんな名シーンが生まれるのか楽しみです。

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