ニチレイレディスの練習日、練習場で何やら難易度が高そうな練習をしていたのが小祝さくら。小祝といえば優勝こそないものの、昨年度の賞金ランキングは黄金世代の中でもトップの8位。安定した試合運びとポーカーフェイスで存在感を放っている。
そんな小祝がやっていた練習が、2本のアライメント棒を飛球線方向に向けて地面に並べ、その間にティアップした球を打つという練習。辻村明志コーチに話を聞いた。
「(小祝)さくらちゃんは打点が良いのが特徴なんですが、最近ちょっと打点が良くなかったんですよね。深く入りすぎたりするから、あの棒で深く入らないようにしています」(辻村コーチ)
と、打点の調整のための練習だと話した。練習中ティアップで何球か打ったあとに地面でも打たせていたが、これは一体?
「地面と交互に打たせることで、棒の上で打っている感覚で芝でも打てるように調整しています。試合が続くと、どうしても球に合わせて当てにいきたくなるので、突っ込む動きが強くなってヘッドの入りが深くなりすぎる。ヘッドの入りが深くなるということは距離感も合っていないということ。なんで合わないかと言ったら、毎回ターフを取っていく深さが違うから。そうならないように練習させています」(辻村コーチ)
ということだった。実際にこの練習をした小祝はどうか?
「良くなっている実感があるみたいです。棒の上で何球か打ってから芝の上で打ったときの芝のターフの取れかたが一定している。それがやっぱり縦の距離感にもなってくる。当然深く入れば飛びすぎちゃうし、薄く当たれば飛ばないし」(辻村コーチ)
それにしても、それぞれの選手に合った練習を瞬時に見抜き提案するコーチの手腕は見事。
サロンパスカップの練習日に小祝さくらが大山志保にパター勝負を挑んでいる場面に遭遇したが、これも辻村コーチの指導だった。
「選手は視野を広く持ったほうが良い。人はどう考えているのかとか、そういう目線で(他の選手を)見ることができれば、自分のことも見えてくると思う。ああいう風に(大山)志保とパター戦をやって、(小祝さくらも)何か気づくことがあると思うんですよ。スライスラインこんなに浅めに読むんだ、とかね。必ず何かがつかめる。先輩から盗むというのもそうだし、逆に悪いところがあったらこれはダメだなというのも気づける。そういう視野を持つようにと思っています」(辻村コーチ)
ツアー会場には選手以外のプロフェッショナルもたくさんいるのだ。
取材大会/ニチレイレディス 撮影/矢田部裕