手首のケガが未だ完治せず4月末から試合を欠場していたミッシェル・ウィがメジャー第3戦KPMG女子PGA選手権で復帰戦を戦った。しかし大会初日パー3で「7」を叩くなど12オーバー84の下位発進。今年10月、30歳になる元祖天才少女の去就が気になってきた。

ウィはハサミを使わない

ウィは試合に出ると予選を通るまではハサミを使わないという。ハサミ=切る。つまり予選カットされたくないのでハサミを使わないというジンクスを守り続けているのだ。

しかし今回は初日ですでにカットラインから大きく外れてしまった。

「このコース(男子の全米オープンも開催されるヘイゼルティン・ナショナルGC)でいきなり好スコアをマークするなんて少しでも考えた私がバカでした。とても難しいから。でもこの舞台に立てたことはすごく、すごく幸せでした」

画像: 天才少女として名を馳せたミッシェル・ウィも、今年で30歳になる (写真は2016年のホンダLPGAタイランド 撮影/岡沢裕行)

天才少女として名を馳せたミッシェル・ウィも、今年で30歳になる (写真は2016年のホンダLPGAタイランド 撮影/岡沢裕行)

練習を再開したのはわずか1週間前。不本意なプレーにホールアウト後、短いインタビューに答えながらウィは目に涙を溜めた。

デビュー当時から抱えていた手首痛を2年前の事故でさらに悪化させ、昨年の10月には手術を受け回復を待ったが、今季は開幕戦のホンダLPGAタイランドで23位タイに入ったものの、その後出場した試合では棄権あるいは予選落ちの状況が続き、14年に優勝している全米女子オープンにも出場辞退という苦渋の選択をせざるを得なかった。

私生活ではNBA(バスケットボール)のゴールデンステートウォーリアーズの幹部ジョニー・ウェスト氏と婚約し「ケガをしてゴルフができないのは辛い時間でしたが、彼と過ごすことができて良かった」と心の拠りどころを得て再び輝こうと思ってい矢先……。出ばなを挫かれた格好だ。

それでもウィは「競技に戻ってこられて本当にうれしかった」と涙。「ここに立てることに感謝しながら耐えたのですが……」

そのあと驚くような本音が彼女の口から飛び出した。「あとどれくらい自分に時間が残されているのかわからないので、たとえ調子が悪くても試合での一瞬一瞬を精一杯楽しみたいと思っています。でもそれはとてもタフなこと」

14歳で米男子ツアーのソニー・オープン・イン・ハワイであわや予選突破(1打足りなかった)の鮮烈な世界デビューを飾った少女は30歳を目前に人生の岐路に立たされている。

彼女の実力を持ってすればいまごろ20勝くらい挙げていてもおかしくないはずなのだが現実は5勝。
ウィは女子プロゴルフ界の光と影の象徴なのかもしれない。

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