ピンまで残り120ヤードを切っていて、ショートアイアン以下のクラブで狙っていける状況からは、確実にグリーンオン、あわよくばワンピン以内に寄せたいところ。でも、短いクラブといえど、なかなか狙った方向へは打てないのがアマチュア。ショットの方向性はインパクトのフェース面の向きで、ほぼ決まってしまうというけど、フェースのコントロールはどこを意識すればいいのだろうか。
「やはり、いちばんフェース面を意識しやすいのは、グリップを握っている手になりますよね。右手のひらとか、左手の甲でフェース面を感じるといいますが、右利きのゴルファーであれば、利き手である右手が重要で、右手のひらでフェース面を管理する意識を持つのがベストだと、ボクは思いますね」(原田、以下同)
そういって、原田が持ち出してきたのはスマートフォン。
「スマートフォンを持っているときの、右手の形が重要なんですよ。アマチュアの方は右手でボールを叩こうとする意識が強いため、グリップを右手でわし掴むような形で握ってしまう人が多いんです。これではフェースを管理するのが難しくなってしまいます。右手は指先をグリップに引っかけるような感じで持ち、右手のひらを少し開いた状態で、フェースの向きと一体化させるように握るといいでしょう」
また、アマチュアがフェース面をコントロールできないのは、バックスウィングで右手の小指に力が入り、フェースを開く動きが入ってしまうのも原因のひとつだという。
「右手の小指に力を入れず、右手首を甲側に折るようにバックスウィング。トップでは右手のひらが空を向き、指の付け根にクラブが乗るようなカタチになるのが理想です。ダウンスウィングでは甲側に折った右手首の角度を保ったまま、クラブがインパクトに向かうことで、フェースがスクェアな状態でボールをとらえやすくなります」
その感覚をつかむためのドリルとしては、右手は指先だけを軽く引っかけ、手のひらを広げてグリップ。この状態でボールを打つといいと原田。
「振り幅は大きくしないで、ハーフスウィングぐらいでOK。最初はボールをティアップしてもいいでしょう。右手のひらでフェース面を意識しながら、ボールを打っていきます。ハーフスウィングで感覚がつかめてきたら、徐々に振り幅を大きくしていき、トップで右手の指の付け根にクラブを乗せる動きも入れていきましょう。ショートアイアンは飛ばすクラブではなく、ターゲットへ正確に運ぶことが求められます。インパクト前後のフェース面の管理がとても大事で、それにはスウィング中のフェースの開閉を極力抑えることです」
トーナメントを取材していると、ウェッジで右手1本の片手打ち練習をしているプロが多い。これも方向性を良くするドリルとして効果的だという。
「右手の向きが変わって、フェース面の開閉が大きくなると上手く打てません。右手のひらをボールに向けたままバックスウィング、切り返しからダウンでは右手首を柔らかく使い、右手のひらが地面を向いた状態でインパクトに向かいます。このときに大事なのが、右わきの締めです。切り返しからダウンで右わきを締め込むようにすると、フェース面をキープしたたま、インパクトしやすくなります」
ダウンで右手のひらを地面に向けることに、最初は少し怖さを感じるかもしれないが、「これでフェース面は正しい向きを保ったまま、プレーン上を下りてくるので、スクェアにインパクトできるのです。この2つのドリルを繰り返し行うことで、ショートアイアン以下の精度が確実にアップします」と原田。
ドリルで感覚を養い、短い距離から確実に乗せよう!
協力/富里インターゴルフ練習場