開催中のPGAツアー「トラベラーズ選手権」では、世界アマランク1位と2位の選手が同時にプロ転向。一体どんなプレーヤーなのか? 月刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウが現地取材!

ビクトル・ホブランとマシュー・ウルフを覚えておこう

こんにちは、ケンジロウです。コネチカット州のハートフォード、トラベラーズ選手権の会場よりお届けしております。

今週はケプカやジャスティン・トーマス、ジェイソン・デイ、フランチェスコ・モリナリなどフィールドが厚いというのは既報の通りですが、実は厚いだけでなく、“熱い”選手たちも出場しているんです。なんと世界アマランキング1位と2位の選手がこの試合からプロデビューなんですよ。

1人はノルウェー人のビクトル・ホブランです(世界アマランク1位)。先週の全米オープンでトータル4アンダー12位タイに入るなど大活躍。見事ローアマを獲得しました。

画像: 全米オープンでローアマを獲得したビクトル・ホブラン (写真は2019年の全米オープン)

全米オープンでローアマを獲得したビクトル・ホブラン (写真は2019年の全米オープン)

しかもジャック・ニクラウスが持つ全米オープンのアマチュアでの最少スコアを上回ったんです。彼はマスターズでもローアマを獲得していますからね、まさに大型新人のプロ入りと言えるでしょう。

もう1人はマシュー・ウルフです(同2位)。彼のことは2月のフェニックスオープンのときも記事で紹介したことがあります。打つ前に左腰を切るリハーサルをやるなどスウィングに特徴があり、とてもキャラクターの立った選手なんです。

画像: “ウルフ”のヘッドカバーを愛用するマシュー・ウルフも今週プロ転向

“ウルフ”のヘッドカバーを愛用するマシュー・ウルフも今週プロ転向

共に同じ大学で、リッキー・ファウラーと同じオクラホマ州立大学のゴルフ部。同大学は、ツアープロを多く輩出しているゴルフの名門大学で、これでまたさらに二人の優秀な選手をプロの世界に送り出すことになります。

彼らはジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマスらの世代と比較されるほど、実力者ぞろいの世代としてすでにアメリカのメディアからも注目を浴びています。日本の女子ツアーでいえば“黄金世代”の次に出てきた“プラチナ世代”というイメージですかね。

2人とも凄いのは、すでに大手メーカーとクラブ契約を結んでいること。ビクトル君はキャロウェイ、テーラーメイド、ピンの3社が獲得に名乗りを上げましたが、最終的にピンを選びました。

「ピンのフィッティングをしてくれたスタッフがノルウェーにルーツがあって、オクラホマ州立大学とも深いつながりがあったのが決め手になりました」(ビクトル)

新しいG410LSTのヘッドは先週のUSオープンから初めて投入したそうですよ。いきなりの投入であの活躍ですから。アイアンも数週間しか使ってないみたいですし、やはり今の世代の子はクラブを替えてもすぐに順応できてしまうんですね。

一方のウルフはテーラーメイドを選びました。ちなみにドライバーはM6で、シャフトはグラファイトデザインのTP7(TX)を使っているそうですよ。

彼が練習している後ろではテーラーメイドの“お偉いさん”がつきっきりで見ているほどの熱の入れようでした。さらに練習中にはプロモーションビデオの撮影をするなど、新人の選手にしては異例の待遇ですよね。

スウィングコーチにはダニー・リーやパドレイグ・ハリントン、チャン・キムらを教えているプロコーチのジョージ・ガンカスがついています。ジョージには昨年月刊ゴルフダイジェストの誌面にも登場してもらいましたが、思えばその取材をしたときの現場にウルフ君がいたんですよね。まさかこんなに大物選手だったとは、まったく気付きませんでした…。

画像: ウルフは“GG”ことジョージ・ガンカスに師事

ウルフは“GG”ことジョージ・ガンカスに師事

もうひとつ驚いたのが、マキロイのキャディを長年やっていたJ.P.フィッツジェラルドをキャディに指名したんです。メジャーも勝ったことのあるベテランキャディですからね、PGAツアーのコースもよく知っているし、“JP”がつけばウルフも心強いでしょう。

一流のメーカー、コーチ、そしてキャディがついてまさに“フルパッケージ”の船出。ナイスガイだし、スウィングもユニークだし、飛距離も出るし、ウルフという名前もいいし、何かもうスターになることが約束されているような気がしてなりませんね。

すでに彼のスウィングを真似するジュニアゴルファーも現れているみたいで、子どもたちからも絶大な人気があります。ファンからサイン攻めにあってもみくちゃになっていましたよ。

画像: インパクトのあるスウィングに、“ウルフ”という一発で覚えられる名前。早くも子供たちに大人気だ

インパクトのあるスウィングに、“ウルフ”という一発で覚えられる名前。早くも子供たちに大人気だ

ちなみにドライバ―には、タイガーの虎のヘッドカバーを真似したのか、“狼”のヘッドカバーがかぶさっていましたよ。

試合前の水曜日には、同じ世代でプロデビューしたばかりのコリン・モリカワ選手とジャスティン・サー選手と一緒に共同記者会見を行いました。やはり次世代のスター候補としてみな注目されているんです。

彼らのコメントから、世代の層の厚さと言うのが垣間見えます。

「ノルウェーから出てきてオクラホマ大学に入ったときはみんな上手くてびっくりしたよ。すぐに思ったのは『ここではすごくいいプレーしないとチームのメンバーにもなれないぞ』ということ。でも上手い人がいっぱいいたことで、自分もそこでやってやろうという気持ちになれたんだ。実際にその中で自分も戦えたしね。アメリカの文化にも徐々に慣れてきたよ」(ビクトル)

そして続けます。

「僕らは大学時代にすごくいい戦いを何度もしてきたからね。彼らと戦うのはすごく楽しみだったし、プロになってもこの関係を続けられるといいよね」

一方のウルフは、

「ビクトルもそうだけど、大学で一緒に戦っていたみんなが、すでにプロの試合で活躍しているのはすごくいいことだよね。僕もフェニックスオープンでやったように、みんなプロの試合で予選通過しているしね。みんながプロの試合でもやれているのを見ると自分も同様にやれるって自信が持てるよ」と語っています。

「アイツができるならオレもやれる」まさに世代の強さ。1年後、2年後にこの世代からメジャーチャンピオンが出ても誰もおかしいと思わないでしょうね。来年の全米オープンで「タイガーVSウルフ」の一騎打ちの優勝争いとか、見てみたいですね~。

ちなみに世界アマランキング3位は、日本の金谷拓実クンでしたから、上の2人がプロになったことで来週ひょっとしたら世界アマランク1位に繰り上がるかもしれないですよ。

写真/有原裕晶

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