「ドライバーを飛ばしたい!」そう思わないゴルファーはいないはず。その願いに応えるべく、インターネット上には飛距離アップをうたう動画レッスンが溢れている。しかし、それは技術の幹ではなく、あくまでも枝葉の部分ではないかとゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロは警鐘を鳴らす。インターネット時代だからこそ抑えておきたい、飛距離アップ・スコアアップのヒント!

ドライバーを真っすぐ遠くに飛ばすのは、そもそも“高等技術”なのだ

仕事柄、多くのゴルファーと話す機会があるのだが、彼らの関心の中心はやはりドライバーだ。「どのクラブが飛ぶのか?」、「曲がらないドライバーが欲しい」など、自然とドライバー談義に花が咲く。

悩みもドライバーに関するものが多い。「飛距離を伸ばしたい」、「スライスを治したい」、「OBの数を減らしたい」など、ドライバーさえまとまってくれれば、スコアがもっと良くなると思っているゴルファーも多いだろう。

画像: アマチュアゴルファーは「飛距離を伸ばしたい」「真っすぐ飛ばしたい」などドライバーに関する悩みが多い。(撮影増田保雄)

アマチュアゴルファーは「飛距離を伸ばしたい」「真っすぐ飛ばしたい」などドライバーに関する悩みが多い。(撮影増田保雄)

しかし、身も蓋もないことだが、ドライバーを真っすぐ、かつ遠くに飛ばすというのは、ゴルフの中でも難しい技術に入る。まず基本となるアプローチやハーフスウィングで球をとらえられること、ショートアイアンでのパーオン率が高いこと、できればスライスやフックの打ち分けが出来ることなど、多くの技術の積み重ねの先に、ドライバーの飛ばしはある。そのことは無視されがちではないだろうか。

たとえば、フィギュアスケートを習い始めるなら、まず滑り方から教わる。上手くなれば、スピンや一回転、二回転のジャンプに挑戦できるようになるかもしれない。最初からトリプルアクセル(三回転半ジャンプ)を飛ぼうと思うスケーターはいない。ところが、ゴルフでは始めた瞬間からドライバーを飛ばしたくなるものだ。

困ったことにというか、ゴルフの場合は、初心者がトリプルアクセルを飛べてしまうスポーツでもある。振り回したドライバーがとんでもなく飛ぶこともあれば、プロでも入らないような長いパッティングが入ることもある。それは、ゴルフの最大の魅力のひとつなのだが、これを続ければいいんだ、とゴルファーが勘違いしてしまう原因になっている。

こんな夢のない話をしてしまうのは、伸び悩んでいるゴルファーが多いと感じるからだ。練習量の割に、なかなか上達していない人の多くが、基礎的な練習にあまり関心がなく、ドライバーを真っすぐ飛ばすことに苦心しているように見える。上手くいったかと思うと、また不調になるので、モチベーションが下がってしまうこともあるのではないだろうか。

私の知る限り、ほとんどのシングルプレーヤーは、集中的にアプローチを強化した時期があるはずだ。彼らは、スコアメイクに必要なアプローチを練習しつつ、球を捉えることやクラブを操ることという、フルショットのベースになる技術を養っている。

画像: シングルプレーヤーは集中的にアプローチを強化した時期があるはずという(撮影/小林司)

シングルプレーヤーは集中的にアプローチを強化した時期があるはずという(撮影/小林司)

最近は、レッスンを主体としたYouTube動画の人気が高い。動画を見て練習しているという人も急増している。今までなかなか見る機会のなかった専門性の高いレッスン動画を見ることが出来るメリットはたしかに大きい。

中身も、ドライバーが不調ならドライバーの動画を見ればいいし、スライスするならスライス防止の動画を見ればいいわけだ。ところが、ゴルファーにも様々なタイプがいるので、ベースのないところに枝葉的なレッスンがどれほど有効なのか、疑問に感じる面もある。

概して、YouTube動画のレッスンは、カレーをいかに美味しく作るかのレシピを競っているようなところがあって、カレーの作り方を教えてくれているものは少ない。かえって混乱している人も多いのではないだろうか。

「マネージメントができていない人は、技術に逃げる。技術を習得しない人は、道具に逃げる」というのは、茨城のトップアマ、金澤徹氏の言葉だ。ゴルファーは、マネージメントのミスなのに、「上手く打てなかった」という技術のせいにしがちで、技術習得よりも道具でなんとかしたくなりがちだという指摘だ。耳の痛い人もいるのではないだろうか。

YouTube動画は私も大好きで、色々なものをよく見ている。道具もとっかえひっかえしている。そんな楽しみがあるのはもちろんだが、少しでも上手くなりたいと思っている人は、基礎的な鍛錬を積んでみるのはどうだろう。

パッティング、それからアプローチで球をとらえる練習。さらにハーフショットから大きいスウィングにつなげていく。ハーフショットがビシビシ打てるゴルファーの技術レベルは案外高いものだ。

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