PGAツアー、3Mオープンは松山英樹が初日に今季ベストの「64」をマークし、ひさしぶりの優勝かと期待が膨らんだが、最終日に伸ばせず7位に終わった。松山は残念だったが、優勝争いは今季一番の混戦で大いに盛り上がった。
中でも最終盤では、ブライソン・デシャンボーが18番でイーグルを奪取して抜け出し、後続の結果を待つ展開。しかし、最終組でプレーする新鋭、マシュー・ウルフがこちらもイーグルを決めて、弱冠20歳にして、早くもツアー初勝利を手にした。
個性的なこの二人だが、そのゴルフへのアプローチは対照的に見える。『ゴルフィングマシーン』の申し子として知られる“ゴルフの科学者”、ブライソン・デシャンボーは、極端なハンドアップで構えて機械的なワンプレーンスウィングが持ち味。彼の代名詞でもあるワンレングスアイアンに代表されるように、とにかく理屈尽くめでゴルフを組み立てる選手だ。
一方、マシュー・ウルフは、超個性的なスウィングにキレとしなやかさを備え、大きな飛距離が武器の選手。気鋭のゴルフコーチ、ジョージ・ガンクス門下でありながら、彼の推奨する「GGスウィングティップス」の典型的な動きとも違うようだ。6月にプロ転向して、プロ3戦目での初優勝という離れ業を演じたわけだが、ここまで独特のスウィングで良いのかは、少し気になるところだ。
そのあたりを現代スイングに詳しいティーチングプロ、石井良介に聞くと、「やはり、フォワードプレスが特徴的ですね。GGスウィングもそうですが、現代のスウィング理論では骨盤周りを開くように動かしたいのですが、一度右腰を入れて反動を使うことで、左に回りながらのインパクトを迎えやすいのでは。左サイドでスウィングをリードし続けていて、個性的ながら、意外にも最先端をいっている雰囲気があります」と指摘する。