マンガ内での描写を見ると、ドライバーを打つときくらい高くティアップし、7番アイアンでそれを打つのだが、飛び出す球は地面を這うような超ローボール。もちろんただのトップ球ではなく、しっかり芯を食って飛んでいく球なので、ドロップせずにちゃんとキャリーが出る。
さらにすごいのは、このショットを何発か続けた後も、地面に刺したティがまったく動かず、最初に刺した位置にキレイに直立して残っている点だ。果たしてこんなこと、できるのだろうか?
とりあえず、マンガにあるように高くティアップして7番アイアンを打ってみた小澤。ティもキレイに残ってナイスショット……ではあるが、ボールの高さは普段よりもちょっと低いくらい。ほぼ「普通のナイスショット」になってしまった。
「最初はティを残すことを最優先で打ってみましたが、やっぱりちょっと低い球を打とうとするくらいでは、あんな感じになってしまいますよね。とんぼちゃんが打っていたのは、ティの高さのまま打ち出してライナーで飛んでいくような球でしたから、当たり前ですが、もっともっとロフトを立ててインパクトしないとダメですね!」(小澤)
ロフトを立ててインパクトするため、ボール位置を真ん中よりも少し右になるように調節。そうやって打った2発目もナイスショットではあったが、やはりとんぼの打っていた球と比べるとまだ高い。
「さっきよりも低く出ましたが、まだまだハンドファーストが足りないみたいです。次はもっとボール位置を右に寄せて、少しボールに近く立って打ってみます!」(小澤)
3発目は2発目よりもさらに低い球! 少しずつ成功に近づいている感触はある。この3発目のショットの際、小澤は「少しボールに近く立つ」と言っていた。彼女はこれを直感的なイメージで行ったようだが、その意図はどこにあったのだろうか?
「さらに低い球を打つには、手首をもっとダイナミックに使わなきゃいけないと思ったんです。つまり、インパクトで左手首が手のひら側に大きく折れた状態を保ちたい。でもこの状態って、体とヘッドとの距離が近くなるので、そのぶん少しだけボールに近づかないと“届かない”んです」(小澤)
なるほど。さらにロフトを立てても芯でミートするためのアジャストというわけだ。
4球目は、さらに低い球を打つべく、極端な左足体重で構えた小澤。手首のコックを大きく使ってバックスウィングし、そこからタメをキープしたままヘッドを鋭角に下ろしてくる。
そして超ハンドファーストでダウンブローにボールをとらえたあと、最後にヘッドをリリースして低く長くフォローを出していく。
マンガ内の描写にもあったように、スウィング軌道の最下点より手前でインパクトし、ヘッドがさらにその下にまで潜り込むように振り抜くことでボールを長く押し込み、打ち出し角を抑える。ただ上から鋭角に打ち込むだけではヘッドが深く入りやすく、ボールがフェースの上っ面に当たってティが折れてしまうのだ。
そうやって打った4球目は、目線の高さで飛んでいく超ローボール! しかもティは微動だにしていない。大成功だ!
「やったー! できましたー! やっぱり、ロフトを立ててヘッドを鋭角に入れつつ、インパクト後にヘッドをリリースして、そのまま押し込むように低くフォローを出していくのがポイントなんですね! 今回はうまくティを飛ばさないように打てましたが、これは、スコアラインの何本目にどんな入射角でボールを当てるのかというような、明確なイメージが湧いたからだと思います。その意味でもこの練習は、ただ低い球を打つというものではなく、スウィングの細部まで細かくイメージしながらそれができているかをチェックするのに最適だと思います」(小澤)
こういった練習を繰り返せば、どうすればロフトを立ててインパクトできるのか、入射角を鋭角にできるのかといったコントロールが身についていくのだろう。また、このような経験を積むことにより、小澤が行っていた「ボールに近く立つ」というようなアジャストも直感的に行えるようになるはず。実に奥の深い練習方法だった!
協力:千葉よみうりカントリークラブ