アイアンショット的に打てる
話を聞いたのはパッティングの専門家として知られるプロゴルファーの大本研太郎。大本に、まずは石川遼のパッティングスタイルについて聞いた。
「石川選手が使うL字タイプのパターは、ショットの感覚に近い、それもアイアンショットに近いモデル。14本のクラブが同じ流れであるべきと私は考えていますが、その意味でショットとの乖離がないモデルです」(大本)
と、まずはL字パターとアイアンショットの感覚的にリンクさせやすさを評価。では、クロスハンドに関してはどうか。
「クロスハンドは右サイドが前に出ないため、まず引っかけなくなります。フォローが大きくなりがちなのですが、石川選手の場合それも抑えられている。しっかり打っても飛びすぎないストロークができています」(大本)
ショットの感覚と乖離せず、引っかけを防いでしっかり打てる。このあたりが石川遼の採用するL字マレットパター×クロスハンドグリップのメリットのようだ。それに加え、大本は、「脳」への好影響を指摘する。
パッティングスタイルの変更で、脳をリセットできる
「パッティングは、他のスポーツと同様に体の感覚に頼る部分が大きく、脳や筋肉の反射を考えると20歳前後に実はピークがきます。もちろん青木功プロのように(感覚的に)そのままいける人もいますが、そういう人はごくまれ。そこから進化するためには、考え方を整理する必要があるんです」(大本)
大本によれば、脳にはマイナスのイメージが刷り込まれやすい一方、「これでいいんだ」というプラスのイメージを刷り込むためには何万回もの試行が必要なのだそう。
「そういう意味でも、一度大きく調子を崩すと戻すのに時間がかかります。石川選手は、自分で研究し、パッティングスタイルを変化させて、結果につなげた。これは本当に素晴らしいことだと思います」(大本)
L字パターをクロスハンドで握るパッティングスタイルに限ったことではなく、今までやってきたことから違うスタイルに変えることで、脳に蓄積されたマイナスのイメージをリセットすることで、好結果を得られるということもあるようだ。
パッティングにマンネリ感を覚える人、なにかブレークスルーのきっかけをつかみたい人は、石川遼のL字クロスハンドスタイルを取り入れてみては?
撮影/姉崎正