現在賞金ランク43位と、初の賞金シード獲得に向けて好調なプレーを見せる金澤志奈。トップ10フィニッシュも2度経験し、初優勝へも期待が高まる23歳のスウィングを、プロゴルファー・中村修が分析した。

アイアンショットにまで好影響があった

15試合に出場して11試合で予選通過。2週連続でトップ10入りするなど、今シーズンに飛躍の気配が見える金澤志奈選手。スタッツを見ても、突出したものは見られないものの、総合的に穴がなく、ショットのレベルの高さを感じさせます。

画像: 賞金ランク43位と、初シード、初優勝が期待できる活躍を見せる金澤志奈(撮影/岡沢裕行)

賞金ランク43位と、初シード、初優勝が期待できる活躍を見せる金澤志奈(撮影/岡沢裕行)

そんな金澤選手に好調の秘密はなにかと話を聞くと、昨年の後半戦で体力的にキツくなり、あと一歩で賞金シードを逃した経験から、オフの間にトレーニングを積み、さらには出られるすべての試合に出るのをやめるなど、参戦の仕方そのものを工夫しているといいます。

そして、技術面では、「バンカーショットの練習をずっとやったら、ショットが良くなりました」と教えてくれました。

サンドセーブ率の数字を改善するために集中的に取り組んだらしいのですが、バンカーショットにはゴルフの基本が詰まっているというプロもいるように、徹底的にバンカーを磨いたことが、アイアンショットにも波及しているようです。

画像: ツアー1勝のキム・エースクがコーチ役。スウィング面をチェックしている

ツアー1勝のキム・エースクがコーチ役。スウィング面をチェックしている

バンカーショットを練習すると、ボールに対してヘッドどう入れていくかというボールコンタクトの感覚が養われます。ヘッドがボールに対しどうアタックし、砂にソールがどう潜り、どう抜けていくのか。砂がフィードバックを与えてくれることで、ヘッドをどう入れ、どう抜くかのセンサーが磨かれていくわけです。

実際、金澤選手の練習を見ていると、とにかくボールがキレイ。シャットに上げてボールを潰すようにコンタクトして低いフックで飛ばす女子プロもいますが、金澤選手の場合、スクェアにインパクトし、高弾道のほぼストレートボールが持ち球。非常に美しい弾道は、一見の価値があります。

そのスウィングは、やはり大きな特徴のない、非常にオーソドックスなものです。ほんのちょっとレイドオフ(トップでシャフトがターゲットより左を向く)でフラットなトップから、浅い入射角でインパクトへと向かっていきます。ダウンブローが強くない打ち方で、フェアウェイウッドなどでも上手くボールがとらえられ、高いボールを打つことができています。

画像: 入射角の浅いスウィングで、ねじれのないキレイな弾道を打つ(撮影/姉崎正)

入射角の浅いスウィングで、ねじれのないキレイな弾道を打つ(撮影/姉崎正)

ウェッジショットを見ても、クラブがボールをとらえる角度が一定で、浅く入ったり深く入ったりといったブレがありません。このあたり、バンカーでの特訓の成果を感じます。

これから夏場を迎え、昨年の課題だった体力面が試される季節となります。体力面の問題さえクリアできれば、今シーズン中に初優勝をつかんでもまるで不思議ではないと言っていいでしょう。

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