アイアンショットにまで好影響があった
15試合に出場して11試合で予選通過。2週連続でトップ10入りするなど、今シーズンに飛躍の気配が見える金澤志奈選手。スタッツを見ても、突出したものは見られないものの、総合的に穴がなく、ショットのレベルの高さを感じさせます。
そんな金澤選手に好調の秘密はなにかと話を聞くと、昨年の後半戦で体力的にキツくなり、あと一歩で賞金シードを逃した経験から、オフの間にトレーニングを積み、さらには出られるすべての試合に出るのをやめるなど、参戦の仕方そのものを工夫しているといいます。
そして、技術面では、「バンカーショットの練習をずっとやったら、ショットが良くなりました」と教えてくれました。
サンドセーブ率の数字を改善するために集中的に取り組んだらしいのですが、バンカーショットにはゴルフの基本が詰まっているというプロもいるように、徹底的にバンカーを磨いたことが、アイアンショットにも波及しているようです。
バンカーショットを練習すると、ボールに対してヘッドどう入れていくかというボールコンタクトの感覚が養われます。ヘッドがボールに対しどうアタックし、砂にソールがどう潜り、どう抜けていくのか。砂がフィードバックを与えてくれることで、ヘッドをどう入れ、どう抜くかのセンサーが磨かれていくわけです。
実際、金澤選手の練習を見ていると、とにかくボールがキレイ。シャットに上げてボールを潰すようにコンタクトして低いフックで飛ばす女子プロもいますが、金澤選手の場合、スクェアにインパクトし、高弾道のほぼストレートボールが持ち球。非常に美しい弾道は、一見の価値があります。
そのスウィングは、やはり大きな特徴のない、非常にオーソドックスなものです。ほんのちょっとレイドオフ(トップでシャフトがターゲットより左を向く)でフラットなトップから、浅い入射角でインパクトへと向かっていきます。ダウンブローが強くない打ち方で、フェアウェイウッドなどでも上手くボールがとらえられ、高いボールを打つことができています。
ウェッジショットを見ても、クラブがボールをとらえる角度が一定で、浅く入ったり深く入ったりといったブレがありません。このあたり、バンカーでの特訓の成果を感じます。
これから夏場を迎え、昨年の課題だった体力面が試される季節となります。体力面の問題さえクリアできれば、今シーズン中に初優勝をつかんでもまるで不思議ではないと言っていいでしょう。