ルーキーイヤーの今年、9試合に出場して5試合でトップ10入り、ニッポンハムレディスクラシックでは2位タイと優勝まであと一歩に迫るなど活躍が際立つ19歳の稲見萌寧。その稲見の強さを支えるのが、10年間続けているという一日10時間という驚異の練習量。10時間というと1日のほぼ半分だが、一体どういう時間割になっているのか? 本人に聞いた。

小学生時代は朝4時半からコースへ

「試合がないときは、朝9時から3時間ショット練習します。そのあとコースに移動して2時間パター練習をして、午後にハーフを回ります。また練習場に戻って、(付帯の)ショートコースでアプローチとパター練習を重点的にしたら、ショット練習をやって帰ります。帰るのは19時くらいですね。あ、あと家では朝と寝る前にストレッチと素振り、パター練習をしてます」(稲見)

画像: 9時から19時まで丸々10時間練習している稲見、家での練習も含めるとそれ以上だ

9時から19時まで丸々10時間練習している稲見、家での練習も含めるとそれ以上だ

と、淡々と当たり前のように話す稲見。10時間練習と聞いていたが、自宅での素振りやパター練習を加えると実際は驚くべきことにそれ以上。実際に時間割を書き込んでもらったが「寝る」「朝ごはん」「夜ごはん」と書かれた部分以外はカタチは違えどすべて練習だ。

この1日10時間練習生活を、稲見萌寧は10年間続けている。現在19歳だから、ゴルフを始めた9歳から今までずっとということになるが、もちろん小学校にも通っている。その間はどうやって練習をしていたのだろうか、稲見のお父さんにも話を聞いた。

画像: 稲見の1日の時間割。「寝る」「ご飯」以外はほぼ練習だ

稲見の1日の時間割。「寝る」「ご飯」以外はほぼ練習だ

「学校は8時15分までに行かなければいけないので、荒川(河川敷)にある新東京都民ゴルフ場に4時半くらいに行って、2周(18ホールプレー)してから学校に行っていました。(夕方は)16時半までにゴルフ場に入れば日没まで回り放題なので、学校終わったらダッシュで戻ってずっとやっていましたね」と、幼少期から河川敷コースで腕を磨いていたのだとか。

ただ、東京となると練習場のボール単価も高く、ゴルフする上で環境がいいとは言い難い。そこで、中学進学を機に、かつて池田勇太も通っていた千葉県の「北谷津ゴルフガーデン」のそばに父と娘で引っ越し。その行動力も凄いが、すべては娘をプロにという思いからだという。

画像: 3時間のショット練習では球数は打たないという「100球くらいかな。動画を撮ったり、確認しながら打つので時間がかかる感じです」(稲見)

3時間のショット練習では球数は打たないという「100球くらいかな。動画を撮ったり、確認しながら打つので時間がかかる感じです」(稲見)

高校は通信制を選択し、卒業してプロとなった今も試合のない日は1日10時間の練習という生活を続ける稲見。そもそも、なんでそんな長時間の練習を始めたのかと問うと「楽しかったからですね、今も変わらず楽しいので続けています」とあっけらかんと答えてくれた。

とはいえ19歳のお年ごろ。休んだり、遊びに行きたいと思ったりはしないのだろうか? 

「休みたいとかはないですね。あ、でも練習終わって家に帰らないで、お父さんと映画見に行ったりとか、夜ごはんを食べに行ったりとかはします」(稲見)

このように仲の良い父娘だが、そもそも稲見のお父さんはプロでもなければ上級者というわけでもない。なんでも稲見の小学生時代、一緒にゴルフをはじめようとレッスンを受けたところ、「お父さんはセンスがないが、娘さんはプロになれるかもしれない」とプロに言われたのだとか。

その、最初にクラブを振らせたときに一回も空振りしなかったという持って生まれたセンス。10時間という練習量も楽しくこなせるのも一種の天分と言えるだろう。開催中の「サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント」で初日から5アンダーの2位タイと飛び出した稲見。その1打には、10年間続けた10時間練習の成果が詰まっている。

取材大会/サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント 撮影/矢田部裕

This article is a sponsored article by
''.