トップを恐れてアプローチでは58度を使っていなかったジョニ男だが……
小澤:みなさんこんにちは、USLPGAティーチング会員の小澤美奈瀬です。
ジョニ男:“20世紀中年”岩井ジョニ男です。先生、今回は50ヤード以内のアプローチを教えて頂きたいんです。
小澤:ジョニ男さんはウェッジを3本お持ちですけど、どういう使い分けをされているんですか。
ジョニ男 58度はバンカーで使います。アプローチには52度を使っているんですが……、ロフトの関係なのか、カ~ンと行っちゃう(トップする)ことがあるので、そうなると怖いから、ロフトがもうちょっと立っている48.5度のUW(※ユーティリティウェッジ。ジョニ男愛用のPINGのアイアンのセットウェッジ)でやるということになるんですよ。ちなみに先生はアプローチのときはどういうクラブ選択をさているんでしょうか?
小澤:私は40ヤードだったら58度のウェッジでポヨ~ンと上げていくのもありかなと思いますね。
ジョニ男:じゃあ私も58度でやってみてもいいですか?
小澤:もちろんです。
ジョニ男:私は短いアプローチは足を揃えて打っているんですけど、40ヤードくらいだと少し足は広げた方がいいのかなと思うんですが、どうなんでしょう。
小澤:そうですね、距離が長くなって大きく振ったときにバランスを崩してしまうこともあるので、40ヤードくらいだと肩幅くらいがイイと思いますね。では、打ってみましょう。
ジョニ男:はい(スタンスを肩幅に広げて打つ。カツン!という音がして、『あれ、トップしたね?』と自信なさげのジョニ男だが、結果は41ヤードとピタリ!)。
小澤:凄い、距離ピッタリですよ。
ジョニ男:アレ? でも今……トップしませんでした?
小澤:うん。ちょうど薄めでしたね。でも58度で打つとスピン量が多いので、今のように落ちてからピタッと止まってくれるんですね。
ジョニ男:なるほど。
小澤:ですから、58度のウエッジの場合は、打っていく距離計算はキャリーのイメージだけでいいかもしれませんね。これが52度とかUWだと、ロフトが立っている分、落ちてからのランの距離の計算もしないといけないので、今のようなちょっと薄めの当たり方だと、ランが出過ぎてオーバーすることが多くなりますよね。ジョニ男さん、そういうのが怖くて振れないなら、キャリーの計算だけでいい58度のウエッジを使うのもいいかもしれませんね。
ジョニ男:でも先生、距離が30ヤード、20ヤードになった時に58度を使う場合、距離は振り幅で変えていくわけですか。
小澤:その通りです。では、30ヤードでやってみましょうか。ほら、スピンが掛かるので止まりましたよ
ジョニ男:28ヤード! なんで今までコレ(58度)を使っていなかったんだろう!
小澤:58度と52度やUWの違いは球の高さなんですね。球が高くなればなるほど降下角度もつくし、スピンも掛かっている状態なので球が止まりやすくなります。
ジョニ男:あとは、コレくらいの振り幅なら30ヤードといったようなものが必要ですね。
小澤:はい。私は58度のロフトを立てた状態のサンドウエッジで、ヘッドが右ひざから左ひざの高さの振り幅で18ヤードというメジャー(基準)を持っているんですね。そういう基準を一つもっておくと距離が変わっても、「20ヤードの距離なら、だいたい右ひざから左ひざの振り幅でいいな」とか、「15ヤードだからひざよりも少し小さい振り幅だな」というような調整で距離を打ち分けることが出来ます。じゃあ20ヤードくらいの短い距離のアプローチもやってみましょうかね。
20ヤードのアプローチは「ボールを上げない構え」がいい
ジョニ男:(打つも、結果は13ヤード)アレ、短いか。今みたいに、20ヤードくらいになると強く打ってオーバーしちゃうんじゃないかという心配から、強く打てなくなるというか、当たんなくなるというか……。
小澤:うん、わかります。もう一度打ってみましょうか。
(2回目も、真っすぐに行くが距離はショートをしてしまう)。
ジョニ男:20ヤード以内のアプローチは、コースでもだいたいショートなんですよね。
小澤:20ヤードになると振り幅が小さくなるので、58度のウエッジでも球が上がりづらいというのがあるんですよね。距離が長いときはスウィングの振り幅が大きいから球も上がりやすいんですけど、パターのように振り幅が小さい場合は球が上がりづらくなります。ですから、20ヤード以下の距離が短い場合は、球を上げないアプローチを使うとイイのかなと思いますね。
ジョニ男:ん?「上げないアプローチ」ですか。
小澤:そうです。ジョニ男さんは通常の20ヤードのアプローチでは、どう構えますか?
ジョニ男:こんな感じです(スタンスは肩幅、ボールはほぼ体の真ん中にセット)。
小澤:うん、オーソドックスでパーフェクトです。これを「上げないアプローチ」にするために少し形を変えていきたいと思います。
【1】スタンスを少し狭くする。
【2】ボールの位置を右足の前にする。
【3】グリップエンドは左足の股関節の内側を差す。
【4】フェース面を立てて構える。
こんな風に構えてみてください。
ジョニ男:これが上げない構えですか。
小澤:はい、では構えを変えたところで打っていきましょうか。あ、その前に、もう少しフェース(ロフト角)を立てていきましょうか。
ジョニ男:フェースを立てて……(打つ。今回は22ヤードとややオーバー)。
小澤:じゃあ、最後にフェースを立てたところから、少しフェースを戻して打ってみてください。
ジョニ男:少し戻して……(打つ。20ヤードピタリ!)せっ、先生!
小澤:素晴らしい! ロフトを立たせた状態で構えて打つと、球が上がらないので、まず方向性が良くなってきますよね。そして打ち出しは勢いよく出ていきながら、振り幅が小さいので転がり過ぎないので、コントロールがしやすいと思いますね。
ジョニ男:この打ち方だと、58度でもトップの心配がなくて、凄く安定しますね。
小澤:そうですね。これからは58度も表舞台で使ってあげてください。
ジョニ男:(58度のウエッジにスリスリしながら)ゴメンね、今まで。ありがとうございます。コレ、絶対使うぞ! 先生ありがとうございます。今日もバッチグー! グッチバー!
小澤:ウフフ。
撮影協力:104ゴルフアカデミー 衣装協力:フィドラ(ウェア)、ロトゥセ(シューズ)