今シーズンからPGAツアーの年間スケジュールが変更され、早くも8月8日からフェデックス・プレーオフが始まる。これに伴い、プレーオフ最終戦「ツアー選手権」でのフェデックスポイントにまつわる制度も見直されたことはご存知だろうか。PGAツアーのクライマックスまであと少し、改めて変更点を再確認してみよう。

ツアー選手権優勝者=フェデックスカップ優勝者に

いよいよ今週のウィンダム選手権が終わると、その翌週からフェデックス・プレーオフがスタートする。今年は全米プロが8月開催ではなくなった分、プレーオフのスタート時期が早まり、しかも全4試合だったのがノーザントラスト、BMW選手権、ツアー選手権の3試合に減ったため、8月中には本年度のフェデックスカップチャンピオンが決まる。

また今年から、ツアー選手権でのフォーマットが新しいものに変更された。すでに昨年、PGAツアーから公表されているが、改めてここで簡単に説明しよう。

以前であれば、プレーオフ最終戦のツアー選手権前にポイントをリセットし、ランキングに応じてポイントが再配分されていたが(リシードポイント)、今年から「フェデックスカップ・スターティング・ストロークス」という新たなフォーマットが導入されることになった。

ツアー選手権前のフェデックスカップランキングに応じて、ポイントではなく、ストローク数によるアドバンテージが与えられることになったのだ。1位は10アンダー、2位は8アンダーという具合に、与えられるストローク上のアドバンテージは減っていき、26〜30位はイーブンパーから始まる仕組みである。これによって、ツアー選手権優勝者=フェデックスカップ優勝者となり、シンプルでわかりやすくなった。

以前はフェデックスカップランキングのリーダーボードとツアー選手権のリーダーボードが2つあり、ツアー選手権の動向次第でフェデックスカップのリーダーボードも変わるため、試合観戦に集中しにくい点があったが、この新フォーマットを採用することでリーダーボードを見れば、細かい計算をすることなく誰が年間王者に近いのかがわかる。

昨年のようにツアー選手権はタイガー・ウッズ、フェデックスカップ優勝者はジャスティン・ローズ、と2人のチャンピオンがツアー選手権の最終日に表彰されることも、この新フォーマットではなくなった。シンプルにツアー選手権観戦を楽しむことができるようになり、メディアやファンたちの関心を得やすいシステムになっている。

画像: 2018年のツアー選手権を制したのはタイガー・ウッズ。一方、年間王者になったのはジャスティン・ローズだった(撮影/姉崎正)

2018年のツアー選手権を制したのはタイガー・ウッズ。一方、年間王者になったのはジャスティン・ローズだった(撮影/姉崎正)

なお現段階(7月30日)において、フェデックスカップランク1位は今季メジャー2勝のブルックス・ケプカ。2位はマキロイで、3位マット・クーチャーが僅差で追いかけている。4位のザンダー・シャウフェレまでは今季2勝以上を挙げている。

タイガー・ウッズは27位、松山英樹は29位でこのまま30位以内のランクをキープできればツアー選手権に出場できるが、PGAツアーの試算した順位別の年間王者の可能性は1位27.1%、2位14.6%、3位10.3%、4位7.1%、21~25位0.7%となっている。

あと1試合、レギュラーツアーのウィンダム選手権も残っており、その後プレーオフのノーザントラスト、BMW選手権の2試合があるので、ツアー選手権への出場選手の顔ぶれは変わる可能性もあるし、上位陣の順位も大きく変わっている可能性もあるが、ケプカ、マキロイあたりはWGC・フェデックス・セントジュード招待でも優勝争いをしているだけに、ツアー選手権でのフェデックスカップ優勝争いも大いに期待できるだろう。

さて、先週末に「フェデックス・セントジュード招待」で初のWGCイベント優勝を果たしたブルックス・ケプカが、レギュラーツアー最終戦を待たずして、最も安定して好成績を残した選手に贈られる「ウィンダムリワーズ・トップ10」ランクでの1位が決定し、2億円超のボーナスをゲットした。

今季全米プロでメジャー1勝を挙げ、マスターズは2位タイ、全米オープン2位、全英オープン4位タイとメジャーで抜群の強さを見せるブルックス・ケプカが、今季初の3勝を挙げた選手になり、フェデックスカップ、世界ランクともに1位に君臨している。彼の現在の心境はどんなものか?

画像: メジャーに滅法強い男ブルックス・ケプカ。今季は3勝を挙げ、世界ランク、フェデックスカップランクともにトップを突っ走っている(写真は2019年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

メジャーに滅法強い男ブルックス・ケプカ。今季は3勝を挙げ、世界ランク、フェデックスカップランクともにトップを突っ走っている(写真は2019年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

「去年は2回、今年は1回、メジャーで勝っているから、去年のほうが明らかにちょっといい。僕は毎回優勝を期待してプレーしているから、そういう意味でも今年はあまりよくないね。PGAツアーでプレーしている限り、目指しているのはフェデックスカップポイントを稼ぎ、できるだけリードを広げることだ。そしてアトランタ(ツアー選手権)を目指して優勝することが目標。たくさん試合はあるが、試合に出る時はいつでもプレーする準備ができている。トーナメントで勝つ準備ができているんだ。結果は後からついてくるんだよ」

その言葉の通り、フェデックス・セントジュードでも優勝。北アイルランド遠征などもあり、さすがのケプカも「肉体的にというよりもメンタル的に疲れている」と優勝後の会見で語っていたが、ハードスケジュールで臨んでいるのはどの選手も同じ。そんな選手たちの中でも、ずば抜けた体力と強靭な精神力を持つケプカの、他を寄せ付けない異次元の強さが浮き彫りになったといえよう。

彼のメンタルも技術も揺らぐことのない自信の上に構築されており、ある試合で自分の思うような結果が出なかったとしても、慌てて何かをするとか、いろいろと細かいことを考えるという感じではない。フェデックスカップ・プレーオフに向けて1週休み、疲労した体と心を休め、犬の散歩をしながら気持ちを癒す1週間を過ごした後は、再びフル充電された強いケプカがプレーオフ1戦目のノーザントラストから戻ってくる。

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