「ロングパットのフィーリングが出やすいです」(小澤)
まず順目の場合は、3番アイアンを短く持ち、普通のパターのように吊って構えるスタイル。アイアンのリーディングエッジでボールの赤道を突いて転がすというものだ。
「クラブが長いぶんシャフトがちょっと邪魔に感じますが、構えにくいほどではないですね。ただ、ライ角がパターよりもかなりフラットなので、どうしても少しボールから遠く立つ感じにはなります。まずはこれで打ってみますね」(小澤)
テストを行った千葉よみうりCCのグリーンは、とんぼが育ったトカラのコースのような芝目はないので、順目を想定して10mほどの下りのラインで実施した。
まず2球ほど打ってみるとどちらも2~3mほどショート。それを考慮に入れて3球目は少し振り幅を大きくしたが、これでもまだボールはカップに届かなかった。
「普通のパターのイメージで打つと、ショートしました。アイアンはパターよりも“飛ばない”んですね」(小澤)
これは、アイアンではリーディングエッジで打つぶん、フェースの「面」でインパクトするパターと比べてボールの弾きが弱いことが大きな理由の1つと考えられる。またインパクトが点になるため、わずかな打点のズレが転がりに大きく影響することもあるだろう。加えてアイアンはパターよりも重量が軽く、クラブ自体の持つエネルギーが小さいことも、距離が出ない原因の1つと言えそうだ。
しかしこれで感じをつかんだ小澤は、続けて打っていくと距離感が合ってきて、かなり寄るようになってきた。なかなか好感触のようだ。
「ヘッドの形状から、パターと違ってスクェアにセットしにくいですし、軌道も直線ではなくイン・トゥ・インのアーク感が強くなります。ですので通常のパッティングよりもかなりアバウトで、しかもショットに近いイメージになるんですが、そのアバウトさがむしろフィーリングの部分を刺激してくれる感じです。パターって、練習しているとどんどん機械的になっていっちゃう傾向がありますが、ヘッドや体の動きよりもタッチや転がりのイメージが増幅されて、とくにロングパットのフィーリングは出やすいと思います」(小澤)
ロングパットはよさそうということで、今度はショートパット。同じように打ったが最初から3球連続カップイン!
「こっちもほどよいアバウト感が、むしろ狙いやすく感じられちゃいます。本当はショートパットって真っすぐ構えて真っすぐ打ち出して……ってことが大事なんだと思いますが、実際に3番アイアンでパッティングしてみると、ヘッドの動きよりも“ボールをどう出すか”に集中できるので、結果もよくなるんだと思います」(小澤)
パッティングが機械的になりすぎてボールをきちんとヒットできていない人、ショートしがちな人は、3番アイアンでパッティングする練習はとても効果的だろうと小澤。
「コースのグリーンでは、芝を傷つけてしまう可能性があるので、ご自宅のパターマットや練習場の人工芝のマットなどでやってみてください。イップスの症状がある人にも効果があると思いますよ!」(小澤)
最後にラインを上り傾斜に変えて、とんぼが逆目のラインでやっていた打ち方にチャレンジ。こちらはボール位置を右寄りにしてハンドファーストに構え、手首を使って少しヘッドを上から入れる打ち方だ。
「少しアプローチのようなインパクトを入れることでボールの出だしを強くし、逆目の芝目に負けないようなボールを打つことが目的だと思います。でも、本当にアプローチのようにパチンとヒットしてしまうとパンチが入って飛びすぎますし、転がりも安定しません。アプローチのような動きのなかで、なるべくマイルドにボールをとらえてあげると、距離感が出やすいと思います」(小澤)
実戦で使うのは難しそうだが、練習としてはかなりの効果が期待できそうな「3鉄パッティング」。ぜひ(自宅などで)試してみよう!
協力:千葉よみうりカントリークラブ