「来シーズンはまたすぐに始まるので、そこからまたガンガン行きたい」
「来年は125位に入って、プレーオフシリーズに出るということを目標にしたいですね。あとは優勝争いをしたいです」
今季の小平は、WGCデルテクノロジー・マッチプレーで24位タイに入ったのが最高で、全22 試合中10試合で予選落ち。5月の全米プロ以降、3試合連続予選落ちなど苦しい日々が続いた。
「マスターズまでは厳しかったんですけど、マスターズ以降はドライバーとかいろいろなことに挑戦して、自分の感覚をだいぶ取り戻せてきたので、自分のゴルフにだいぶ近づいてきました。今、終わってしまうのは寂しいですけど、来シーズンはまたすぐに始まるので、そこからまたガンガン行きたいと思います」
予選落ちが続き、さぞかし落ち込んでいるのかと思いきや、ウィンダム選手権で語る彼の言葉の端々には復活への自信や期待感が感じられた。ウィンダム選手権2日目の最終ホール、長めのパットを決めれば予選通過、という場面で惜しくもカップインできなかったものの、予選落ちが決まった直後でも最後のパットを入れたあとの彼の表情には清々しさが感じられ、何かしら達成感や手応えを感じている明るさがあった。本来の自分のゴルフができる感覚に戻ってきている、ということが本人にとって何よりも薬となり、この表情に繋がったのだと思う。
ホールアウト後のインタビューで「終わった時、いい表情していましたね」とその表情について触れると
「ほんとですか?(笑)去年の今頃とは気分は全然違います。(苦悩の)トンネルのど真ん中にいる感じだったんですけど、この1年で出口まで出てきたので、だいぶ気分はよかったですね。自分のゴルフはショット(力)なので、そのショットがよくなってくれば自ずといいスコアも出せる。だから最後、気持ちよかったですね。悪いショットを打って、悪いスコアだったわけではないので、気持ち的には全然落ち込んでいません」
と語った。今までの彼の人生の中で、あまりつらい時期はなかったそうで、学生時代から順調にゴルフ人生を歩んできたが、一昨年の10月にドライバーが破損してからというもの、自分のゴルフができない時期が続いていたという。昨年、マスターズに初出場して予選通過を果たし、RBCヘリテイジでいきなり米ツアー初優勝を果たしたにも関わらず、である。
「あまり自分のゴルフができていないのに、いい成績を残せていたので、心の中では何かモヤモヤしていたんです。この2年間は苦しいというか、悩んでいたので、その長いトンネルからここ3週間くらいでだいぶ抜け出せてきた感じがしています。気分がいい状態でシーズンが終わったかな、という感じです」
いざ、これからトンネルを出て、明るい光に向かって邁進しようというところでシーズンが終わってしまったのは残念だが、小平自身、「今つかみかけている昔の感覚をもっと固めたい」と語っている通りに、今の「手応え」を「確信」に変える時間も必要だ。
プレーオフシリーズが終われば、すぐに2019-2020年シーズンは9月中旬から開幕する。それまでの約1カ月間で、つかみかけている感覚をさらに蘇らせ、自信を持ってプレーできるところまで練習し、仕上げてくるに違いない。
8月下旬には日本に戻り「RIZAP KBCオーガスタ」に出場する可能性も高い。まずはそこで再起をかける小平のゴルフを、日本のゴルフファンも見ることができるかもしれない。「来季はこの2年間の集大成をファンに見せたい」という小平。世界最高峰の米ツアーで強豪たち相手に揉まれ、苦しんだ分、彼の言葉には重みがある。なんとか無事トンネルを抜け切り、彼本来のキレのいいゴルフを再び見せて欲しいと願う。