プロゴルファーは総じてスポーツ好きだ。野球、バスケット、フットボール、アイスホッケーなどなど、各人にお気に入りのスポーツがあり贔屓のチームがある。タイガー・ウッズも然り。彼が幼い日々から憧れたのはいったい誰?

PGAツアーのプレーオフシリーズ初戦ノーザン・トラストが開幕する2日前の火曜日。自由の女神とニューヨークの摩天楼を臨むリバティナショナルGCのクラブハウス前に設えられたベンチにタイガーが現れた。その傍らにはキャディのジョー・カバラの姿が。

画像: 小さい頃憧れていたのはモハメド・アリとタイガーはいう(写真は2019年の全米オープン 撮影/有原裕晶)

小さい頃憧れていたのはモハメド・アリとタイガーはいう(写真は2019年の全米オープン 撮影/有原裕晶)

午後の日差しを浴びながら穏やかな表情でGOLFTVのインタビューに応じたタイガーはファンからの質問に1つ1つ丁寧に答えていた。

なかでも興味深かったのは「少年時代の憧れのアスリートは?」という問いに対するタイガーの答え。「小さい頃から憧れていたのはモハメド・アリだな。アスリートといえば彼。飛び抜けた存在だった」

プロデビュー(96年)のころはよく憧れの人は「マジック・ジョンソン」と答えていたもの。だがじつはアリの存在の方が深く心に刻まれていたとは…。

「カリフォルニア生まれの自分にとってマジック・ジョンソン率いるレイカーズ(ロサンゼルスに拠点を置くNBAのチーム)の“ショータイム”には興奮したけど、やっぱりアリはアリ」

ショータイムとは80年代のレイカーズの代名詞。ジョンソンを中止とした鮮やかな速攻はそう呼ばれファンを魅了した。

タイガーが生まれたのは1975年の年末。ものごころついたころにアリはすでにボクサーを引退していた。それでも憧れたのはボクシングの枠を超えすべてのアスリートを凌駕する風格と語り継がれる数々のエピソードを目にし耳にしてきたからだ。

まだ黒人差別が根強くあった時代に登場したアリに父・アールさんも傾倒。朝な夕なに話題にしていたそうだ。

アリに憧れた少年はゴルフを志す子供たちのヒーローとなった。あいにくノーザン・トラスト初日は4オーバー75を叩き116位タイと出遅れた。

ラウンド後のインタビューでは悔しさを滲ませることなく「調子は悪くなかった。ただちょっと噛み合わなかっただけ」と笑顔での受け答え。ひょっとしてマスターズVでバーンアウトしちゃった?と思ってしまうが、願わくばタイガーには今後も皆の憧れのアスリートとして不屈の闘志を見せ続けて欲しい。

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