アイアンショットの成功こそが“スコアアップ”への近道
先日、タイトリストのゴルフクラブの開発拠点“タイトリスト パフォーマンス インスティチュート”(米国・カリフォルニア州)にニュークラブの取材に行ってきたのだが、そこで思わずハッとさせられたことがあったので紹介しておきたい。
タイトリストは9月に「T-SERIES」というまったく新しいアイアンシリーズを発売するが、その開発責任者からまず語られたのはスコアメイクにおける、アイアンショットの重要性についてだった。
「1ラウンドでの各クラブの使用機会を考えたときに、我々メーカーやゴルファーが常に気にしているドライバーは、それほど使用頻度が高くないことに気がつきます。しかし、アイアンは違います。番手こそ異なりますが、ほぼほとんどのホールで使用、アイアンショットをミスすればウェッジの登場回数が増え、成功すればパーセーブの可能性がグンと高まります。つまり、アイアンショットの精度を高めることこそが、スコアを縮めるための近道になるのです」(タイトリスト ゴルフクラブR&D シニアバイスプレジデント ダン・ストーン氏)
よく考えれば当たり前のことなのだが、その割にアイアン選びとなると途端に腰が重たくなる。飛ぶと評判のドライバーやカップインしそうな人気パターにはすぐに飛びつきたくなるのに、アイアンについては決してそうはならない。
一般的なゴルファーのアイアンの買い替え頻度は5〜6年に一度といわれるが、10年以上、あるいはゴルフを始めたときと同じアイアンをずっと使っている、という人も意外に多いのではないだろうか。各番手に役割があり、単に遠くへ飛ばせればいいと単純に割り切れないところにアイアン選びの難しさがあるのだ。
「ゴルファーそれぞれに様々なニーズがあると思いますが、アイアンに求められる本当の飛距離とは狙った距離を正確にキャリーし、なるべくロール(落ちてからのラン)がなく、ターゲット付近にピタリと止まることではないでしょうか。そして、ロングアイアンからショートアイアンまで番手間の飛距離ギャップが10〜12ヤードの幅に収まること。このようなアイアン飛距離を手に入れることができれば、確実にスコアアップできると思いませんか?」(ダン・ストーン氏)
超ストロングロフトアイアンでは、思い通りに止められない!?
どれだけ飛ばすのかも大事だが、確実にグリーン内に止める。それがアイアンに求められる本当の飛距離だと、ダン氏はいう。
「日本市場では超ストロングアイアンが流行っていると聞いていますが、ロフトを立てても結局は想定したエリアにボールが止まらなければ意味がないのです。グリーンには届いたが転がってグリーンの奥にこぼれてしまった。あるいは思ったよりランせずに乗っただけになってしまったなど、キャリー+ランで正確な飛距離を実現することは非常に難しいのです。落ちたところに止まるから計算ができるのです」(ダン・ストーン氏)
タイトリストの新しいアイアン『T-SERIES』では、3D FOCUS ELEMENTSという弾道学に基づき、【1】キャリーを生み出す初速性能 【2】縦・横方向へのバラツキ軽減 【3】ロールを抑えるための弾道高さと落下角度について研究し、モデル開発に生かしたという。
「ロングアイアンが打てないと感じる理由の一つに、ボールが上がりにくいことがあります。高さを出せなければ、キャリーも出ませんし、グリーン内で止めることも難しくなってくるのです。単にロフトを立てて飛距離を稼ごうとすれば、さらにそうなると思います。機会があれば、ぜひ『T-SERIES』の弾道高さに注目して打ってみてください。3モデル(T100、T200、T300)の中にあなたにとって必要な高さ、つまりキャリーとロールのバランスが取れるモデルがあるはずです」(ダン・ストーン氏)
最大飛距離ではなく、狙った飛距離に確実に届き、止まる。そのためのロフト設定であり、ヘッドの構造や重心設計でなければならないとダン氏は何度もいった。アイアン選びのキーワードは、弾道の“高さ”だ。とくに打てないと諦めていたロングアイアン(#5)を打ってみれば、その違いがわかるという。1ヤードでも遠くへ! ではなく、1打でも少なく! そう考えて選ぶべきなのがアイアンであることを、改めて教えられた。