圧倒的な飛距離も、驚異的な練習量もなく、ジュニアゴルファー上がりでもないが、それでもハンディキャップ「5下」をキープする。匿名5下シングル氏。今回は彼に、とっておきの「90を切るための方法」を聞いた。

真っすぐ打っているように見えて、実はボールを「曲げている」

私は、ゴルフ仲間から「90を切るためにはなにが必要だと思う?」と聞かれると、「フックとスライスを打ち分けるといいよ」とアドバイスすることがよくあります。

ただ、そういうと、大概の場合こんな答えが返ってきます。

「無理無理! 打たないとどっちに曲がるかわからないんだかr、打ち分ける腕前なんてないよ」

と。たしかに、球筋を打ち分けるのは難しいのは事実です。そして、ゴルフ雑誌などを見ると、フック、スライスを打ち分けるよりも、右なら右、左なら左に曲がる持ち球を磨いたほうがいいというアドバイスもよく見ます。

画像: ほんの少しスタンスをクローズにしたり、オープンにしたり……プロや上級者ほど、実は小さな動きで微妙に球筋を打ち分けている(撮影/渡辺塁)

ほんの少しスタンスをクローズにしたり、オープンにしたり……プロや上級者ほど、実は小さな動きで微妙に球筋を打ち分けている(撮影/渡辺塁)

私個人は、ゴルフのプレーとは一輪車に乗るようなものだと思っています。一輪車に乗っている人は、一見真っすぐ走っているように見えて、実は右に傾いたものを左に戻したり、左右のバランスを取りながら走っていますよね。

一輪車に乗る時と同じように、「前のショットはちょっとつかまらなかったな。次は少しつかまえよう」「ティショットがつかまりすぎたから、セカンドは少し逃し気味に打とう」と一球一球調整しながらプレーする。これが、大ミスを防ぎ、スコアをまとめる上でとても大事だと私は思っているんです。

「真っすぐ打てていいなあ。ゴルフが簡単でしょう?」なんて褒めてるんだか皮肉なんだかという言葉を頂戴することもありますが、いやいや、ゴルフが簡単なわけないじゃないですかって、いつも思っています。必死に一輪車の上でバランスをとって、どうにか18ホール転がり落ちないように必死です、いつも。

片山晋呉プロの言葉で、「手が下りてくる位置は水物」というものがあります。あれだけ機械のようにスウィングを作り込んでいる片山プロでも、球筋を決定づける手が下りてくる位置は「水物」だというのです。

完璧なスウィングを作ればそれでストレートボールを毎回打てるわけじゃない。練習で調整し、ラウンド中も調整しながらプレーしている。もちろんレベルがはるかに違いますが、永久シード選手でも、私のような一般人と同じように必死に一輪車を漕いでいるのかと思うと嬉しくなります。精度は大違いだとしても!

スライス、フックを打ち分けるのは難しいもの。しかし、「ほんの少しつかまえる」「ほんの少し逃す」という技術を覚えると、コース攻略の幅が格段に広がり、ゴルフがラクに、かつ楽しくなります。

ジャック・ニクラスも「真っすぐの球がまだ打てない」と言っています。できるできないはひとまず置いて、練習場でちょっとつかまえる、ちょっと逃す工夫をしてみてはいかがでしょうか? きっと、ゴルフがもっと楽しくなると思いますし、それができれば80台のスコアはすぐに出せると思いますよ。

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