今週のPGAツアーはシーズン最終戦「ツアー選手権」。木曜日からの死闘を間近に控えた月曜日のコースの模様を、在米ゴルフアナリストのアンディ和田がレポート。

コースで練習したのはシャウフェレだけ

PGAツアー年間王者を決める最終戦「ツアー選手権」の試合会場、イーストレイクGCの月曜日は
静かな1日でした。 前日まで1200km離れたシカゴで試合が行われていて、午後会場に現れたのは
ブライソン・デシャンボー、トニー・フィナウ、そしてザンダー・シャウフェレの3人だけでした。

デシャンボーとフィナウは移動後の身体ほぐしのような軽めの打球練習とアプローチ、パッティング練習だけでした。

画像: ウェッジ5本ちパターをでコースチェックしたザンダー・シャウフィレ(写真は2019年の全英オープン 撮影/姉崎正))

ウェッジ5本ちパターをでコースチェックしたザンダー・シャウフィレ(写真は2019年の全英オープン 撮影/姉崎正))

コースに出たのはシャウフェレだけ。 スウィングコーチでもあるお父さんのステファンさんとキャディを務めるオースティン・カイザーと後半バックナインを歩き始めました。ゴルフバックは持たずにウエッジ5本とパターでコースチェック。

シャウフェレはルーキー年となる2017年に最終戦を制覇して新人王に輝き、昨年も7位とコースとの
相性は良いはず。 きっと散歩程度に数ホールだけのコースチェックなのではと予想していましたが、大間違いでした。

試合時をシミュレーションした難しいピンポジションに対し、外してはいけないようなニアサイド(ピンに近い側)からの真剣モードの1球勝負。深いラフ、バンカー、薄めのライなど厳しい状況を想定しての寄せ。 大学ゴルフ部時代からの友人のカイザーと相談しながら、ちゃんとボールをマークして、ボールに記してある線を目標に合わせとても丁寧な作業を行なっています。

画像: パッティングもラインを合わせ念入りに練習していた

パッティングもラインを合わせ念入りに練習していた

他に厳しいピンポジに対し狙えずグリーン中央、広い場所に乗せてしまったときの20から30メートルのロングパットや、ティショットを深いラフに入れてしまったときにグリーンを狙えなかったことを想定して、50ヤードのピッチショットも練習していました。

最終18番では途中からキャディがいなくなってしまったのでどうしたのかなと思っていたら、隣の10番ホールで距離測定。 ザンダー曰く「ティーショットで左に曲げてしまったら2打目は隣のホールに打つ選択しかないケースもあるだろうから調べているんだ」とのこと。

意外にもダフリやミスショットやミスパットは多く、キャディーと共に笑いながら「下手くそだなぁ~」と和んだ雰囲気もある中でミスショットという“災害”を予想しての避難訓練的なコソ練が続けられていました。

画像: ラフからのアプローチなど、ミスした場合に備えての練習を重点的に行っていたシャウフェレ

ラフからのアプローチなど、ミスした場合に備えての練習を重点的に行っていたシャウフェレ

今年のツアー最終戦は例年よりも1カ月早く、アトランタの気温は36度を越え、湿度は96%と不快指数はマックス状態でしたが、各ホールで20〜25分を費やす入念な作業。試合ではミラクルリカバリーやチップインなどを魅せるツアープロですが、グリーン周りで1打を削る努力はこのような練習の積み重ねで、偶然の出来事でないということがわかります。

このような練習はシーズンを通してどれぐらいの頻度でするのかを尋ねたところ、「年に4、5回かなぁ? ショートゲームのみに専念できるし、練習エリアで同じ景色で打つよりも1球に集中できるから収穫は多いね」と話していました。

今シーズンから松山英樹の専属キャディを務める早藤将太はこのイーストレイクは初めてということでコースを歩きながら入念にチェックしていました。 コースメモを手に歩測しながら距離のダブルチェックやティショットの落とし所が見えにくい場所のライン取りなどをたしかめながら確認作業を続けていました。

16番の2打目地点に来ると「ここマキロイがイーグルを獲ったホールですよね?」と話し、初めて歩くイーストレイクの独り歩きを楽しんでいる様子でした。今年から導入されるストロークハンディ制の最終戦はどんな結末が待っているのでしょうか? 戦いは月曜日から既に始まっています。

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