北アイルランドでヨーロピアン・チャレンジツアーとして開催された「ISPSハンダ・ワールドインビテーショナルMen&Women」。通常とは異なる男女が同一のルール形式で行われた同大会は世界的人気を誇る音楽スター「ワンダイレクション」のメンバー 、ナイル・ホーランが大会アンバサダーとして様々な視点から大会運営に関わっていた。

世界的アイドルがゴルフに本気になった

7月に全英オープン開催で沸いた北アイルランドの地で、先週、ヨーロピアン・チャレンジツアー「ISPSハンダ・ワールドインビテーショナル Men & Women」が行われた。この大会は、北アイルランドのガルゴルムキャッスルGCとマゼリーンGCの2コースを使って開催され、男子192人、女子90人の選手が参加。

ヨーロピアン・チャレンジツアー、レディース・ヨーロピアンツアー、そして現在米LPGAツアーで活躍するチャーリー・ハル(英国)、ステファニー・メドウ(北アイルランド)、ソルハイムカップ・欧州チームキャプテンのカトリオナ・マシュー(英国)と一部アマチュアが出場し、男女同コース、同賞金額のもと行われた。

ISPSは2月にオーストラリアで「ISPSハンダVICオープン」を開催したが、同様のフォーマットがこの大会にも採用されている。男女選手たちが、同じ賞金額をかけて、同じコースで交互のティタイムでスタートしていくという、世界でも類を見ない形式だ。

冠スポンサーはISPSハンダとなっているが、実際この大会の開催を切に希望し、実現させたかったのはISPSではない。世界中の若い女の子たちを虜にしている世界のビッグスター、ワンダイレクション(通称1D)のナイル・ホーランだ。

画像: ホーガン自らが設立したマネジメント会社「Modest! Golf」の契約選手のレオナ・マグワイヤー(中央)

ホーガン自らが設立したマネジメント会社「Modest! Golf」の契約選手のレオナ・マグワイヤー(中央)

ワンダイレクションと言われても、何のことかさっぱり……という方のために、簡単に説明しておこう。イギリスおよびアイルランド出身のメンバーからなる若手のボーイバンドグループで、ナイル・ホーランはその中の1人。2010年から活動をスタートし、日本にもよくコンサートで来日していたが、2016年で活動を休止。その後はそれぞれがソロで活躍している。21世紀のビートルズと言われているが、イメージ的にはバックストリートボーイズのイギリス版のような感じが適当かと思う。
 
さて、そんな世界的なアイドルグループの1人がなぜゴルフの大会に関わっているのか? 実はホーランは大のゴルフ好きで、ローリー・マキロイ、ジャスティン・ローズらとも親交が深い。以前、マスターズのパー3コンテストでマキロイのバッグを担いだこともあった。彼は若手ゴルファーを育成しようとマネージメント会社(Modest!Golf)を設立。今やヨーロピアン・チャレンジツアーで優勝者を輩出するマネージメント会社となっている

レギュラーツアーのシード権を持たない男女プロに、男女平等に戦うチャンスを与え、将来的にレギュラーツアーで戦う支援をしたいという彼には、彼らが出場できるトーナメントを開催したいという構想があった。そして今年の2月、ISPSハンダはオーストラリアでVICオープンを開催。男女プロが同じコース、同じ賞金額のもとで戦う、という男女平等の試合を見たホーランは「なんとかISPSの協力を得て、トーナメントを開催したい」という気持ちを強くしたようである。

開催まで1年越しの‟前例のない”構想がようやく実現

「1年前にこの構想を考え始め、ISPSとこうして一緒に組んで大会を開催することができて本当に嬉しい。ヨーロッパで男女が一緒に戦う試合なんて見たことがなかったし、これを機に、今回だけでなく毎年開催して、これを通常のものとしたい。そしてゴルフが発展していけばいい。女子ゴルフの発展にも貢献したいと思う」

ホーラン目当てに普段は全くゴルフに興味を示さないような若い女の子たちが大勢会場に足を運び、会場の雰囲気を盛り上げた。中には「今までゴルフなんて興味がなかったけど、ナイルがそんなに熱心にやっているなら、私もやってみたいわ」という純真なファンもいて、ゴルフ層の拡大という意味でも大いに貢献してくれている。

世界ランク29位のチャーリー・ハルは「今週はどちらかというナイルを見に来る人が多いでしょうけど、それでもこうしてたくさんの人たちにゴルフを観に来てくれることは素晴らしいことだわ」と素直にホーラン人気による観客数の増加を喜んだ。

彼は大会中、トーナメント・アンバサダーとして大会を盛り上げた。プロアマにも出場し、試合中はプロたちの戦いを見学。最終日には表彰式に出席し、今回大会開催に協力して出場してくれた男女のプロゴルファーたち、ISPS、トーナメントスタッフ、そして会場につめかけてくれた北アイルランドの人々に対し、感謝の意を伝えた。

ギャラリー数は、ホーラン人気があったにせよ、ビッグネームがひしめき合うレギュラーツアーのそれとは開きはあるが、ひとまず大会は大成功に終わり、トーナメント・アンバサダーも満足げな表情を浮かべていた。

「こうして皆さんの協力を得て、大会を成功することができ、本当に感謝している。今後はもっとこの大会を大きくし、賞金額を上げて、“ワールドインビテーショナル”の名にふさわしい、世界中の選手が戦う試合にしたい。そして女子のゴルフにも貢献していきたいと思う」

ホーランの本業は歌手だが、ゴルフの方もかなり真剣だ。「スポーツと音楽は、世界中の人々を結びつける力がある」と語っているが、たしかに音楽とスポーツには国境はないし、政治的な諍いも関係ない。今までのゴルフ界では見られなかったような新たな旋風を巻き起こし、ゴルフ人気を向上できる人物がいるとすれば、ゴルフを心から愛し、ゴルフ界を発展させたいという志の強いナイル・ホーランのようなスーパースターなのかもしれない。

This article is a sponsored article by
''.