渋野がメジャーを4勝したら
今週の国内女子ツアーメジャー第2戦「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」。5月のメジャー初戦「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」では、渋野日向子がプロ初勝利をメジャーで達成。
その後の全英オープンでは海外メジャーも制すなど、“飛躍の起点”にもなった。今大会も注目度ナンバー1で迎えることは確実で、渋野の「国内メジャー連勝なるか?」は見どころのひとつになるだろう。
さて、ではその「メジャー」は、他の試合とどう違うのだろうか? 選手にとって、もっとも大きいのは複数年シードが得られることだとプロコーチの井上透は言う。
「女子の場合は男子に比べ、優勝して複数年シードをもらえる大会は少ない。それだけに女子ツアーではメジャーで勝つことは、価値が高いものという認識が選手間でもあります。そして、シード権を持っていれば、その前後の大会の移動距離や賞金総額などを考慮したうえで、開幕前からどこで休みを取るかを決めることも可能になるのです。これは選手にとってはとても大きなことなんです」(井上氏)
プロにとって「試合に出られること」は最重要事項。シードがなければそれを得るためには試合に出続けなければならないという焦りがどうしても生じるが、複数年シードがあれば、そんな焦りとは無縁に、狙った試合に向けての調整ができるというわけだ。ちなみに、非メジャーの試合の場合、与えられるシード権は翌年のみだ。
また、賞金額も総じて高い。“平場の試合”の多くは賞金総額6000万円〜1億2000万円だが、今週の「日本女子プロ」の賞金総額は国内最高額の2億円。渋野が勝った「ワールドレディスチャンピオンシップ」と最終戦の「LPGAツアーチャンピオンシップ」は1億2000万円、日本女子オープンは1億4000万円と高額だ。
3年シードに加えて、高額賞金大会でもある。必然的に、選手の目の色が変わるというわけだ。
また、「メジャーに勝ち、かつ賞金女王になった場合5年シード」や「同一年にメジャーに2勝した場合5年シード」といった規定もあることからも、メジャーの重要性も見てとることができる。
2018年にメジャーで3勝を挙げたシン・ジエは、2025年までの7年シードを獲得しているし、仮にメジャー4試合すべてを制覇する「年間グランドスラム」を達成し、その年の賞金女王にもなれば、なんと15年シードを獲得することができるのだ。仮に渋野が今年これを達成すれば、現在20歳の彼女は35歳までの出場権を確保することになる。
はたして渋野日向子はメジャー2連勝を果たすことができるだろうか? 注目だ。