高校まではアイスホッケーに専念。大学からゴルフに絞った
米男子ツアーでは最近マシュー・ウルフやコリン・モリカワなどNCAA大学ゴルフで実績を残した若手選手の活躍が著しいですが、2年前に米大学ゴルフ界で最優秀選手に輝き、下部ツアーからPGAツアーに昇格したマーベリック・マクネリ(23歳)も新シーズン期待のルーキー新人選手の筆頭といえるでしょう。
タイガー・ウッズと同じ名門スタンフォード大学に在籍し、タイガーに並ぶ11勝を挙げるなど大活躍、若手エリート道を進んできたように思われがちですが、マクネリの経歴は他のゴルファーと大きく異なります。
他の若手ゴルファーと異なる理由は高校時代はゴルフよりもアイスホッケーに専念していてジュニアゴルフ界では無名な存在だったことです。そしてなんといっても注目される理由の1番は偉大なお父さんの存在でしょう。
資産は10億ドル越え(約1100億円)だと報道されている父、スコット・マクネリ氏はIT企業米サン・マイクロシステムズ共同設立者で4人の息子達がいます。スコット氏の父親が米自動車会社で働いていたこともあり4人の息子達の名前由来は車名だそうです(長男マーベリック=Ford、スカウト=Jeep、コルト=Dodge、そしてダコタ=Dadge)。
スコット氏はハーバード大学のゴルフ部に在籍し、ハンデはスクラッチレベルまで上達したそうです。4人の息子達にはゴルフを強要せずにいろいろなスポーツを経験させました。長男マーベリックはアイスホッケーを好み、プロホッケーNHLサンノゼシャークスのジュニアチームのキャプテンを4年務めるなど中学、高校時代を過ごします。
ゴルフは春から夏休みに専念していましたが、17歳の時には全米ジュニアランク2200位前後。強豪が集まるトップレベルの大学ゴルフでは通用しないのでは? という評価が多かったそうです。
マクネリは「アイスホッケーをやっていて身体の土台、そしてバランスや体幹を鍛える事ができゴルフに大変役立ちました」と語っています。
アイスホッケーを断念し、スタンフォード大学でゴルフに専念しだすとメキメキと頭角を現し、2年目に全米オープンの出場を果たし、60台のスコアを連発。リーグ最終戦では「61」を叩き出すなどシーズン6勝します。この時点でプロ入りの可能性も噂されましたが、本人はプロ転向はきっぱりと否定し、大学卒業を優先すると宣言しました。
世界的に有名な名門スタンフォード大学で極めて厳しい専攻のひとつ「MS&E」という経営と工学の学士を取得し卒業したマクネリは2017年にプロ転向。下部ツアーの予選会を突破し、2シーズンで昇格を果たしました。 今週から正式なツアーメンバーとしてPGAツアーデビューします。
米ゴルフダイジェスト紙からのインタビューではプロ転向時に注目度が高く、表紙のカバーに載る企画があったのに「まだプロとしての実績がないので」と断った話や、他の選手と比べて家族に資金的な余裕があるのでプロとして成功することの不安やプレッシャーは少ないのでは? という質問に対し、「父は昔から資金的に余裕がある新事業は必ずと言っていいほど大成しない、ギリギリの所から競い合って這い上がってくるのが大事だと教わってきました。私は自分の成功をプロとして稼いだ金額ではなく自分自身の努力と責任をもった行動で表していきたいと思っています」と大人の発言をしていました。
身長は185センチ、体重は77キロとジョーダン・スピースの体型に似ているマクネリ。下部ツアーでの平均飛距離は312ヤード(ツアー24番目)、パーオン率75位、パッティング部門5位、バーディ奪取5位、総合ランク16位というデータを残し、昇格組50人中44番目でルーキーイヤーを迎えます。
PGAツアー2019-20シーズン開幕戦「ミリタリー・トリビュート・アット・ザ・グリーンブライヤー」にもさっそく出場。1日目を3アンダー32位タイでフィニッシュし、8アンダーでロケットスタートを決めたロビー・シェルトンを追いかける展開となっています。
これまでPGAツアーでの最高順位は29位ですが、シーズンを通して戦える正式なツアーメンバーとしての期待度は高いので要注目です。
最後にワイドショーネタのプライベートな話になりますが、マクネリは昨年末からは同じラスベガスに拠点を持つ韓国系米国人の女子プロ、ダニエル・カン(2017年全米女子プロ優勝)と交際をするようになり、SNSでも公に発表するなどゴルフ界のビッグカップルになりつつあります。