ゴルフノートをつけることで“調子の波”を整える
「基本的には動画を撮ってもらったりとか、キャディさんに見てもらったりとかしてます。あとは開幕から “ゴルフノート”を書いていますね。」(淺井)
コーチをつけないと調子を保つのが難しいのでは? という質問に、淺井咲希はこう答えてくれた。ジュニア時代はお父さんがコーチだったという淺井だが、プロ入り後はこの「ゴルフノート」をつけることで調子を保っているのだとか。具体的にどういったことを書くのか教えてもらった。
「たとえば『試合中のこういうときにこうやって打ったらこうなった』とかを書いています。今シーズン調子が激しく落ちることがないのは、ゴルフノートに書いている効果なのかなとは思います」(淺井)
自分のプレーの記録以外にも、周りの人からもらったアドバイスや教えてもらったドリルなども書く。そうして様々な情報をノートに記しておき、振り返ることで調子を崩しても自分で修正できるようになったというわけだ。またスウィングだけでなく、メンタル面にも効果があると教えてくれた。
「私は感情が出ちゃうタイプなので、感情が出てしまったときの状況とかをノートに書いてるんです。そうしておけば、振り返ったとき、もう一回自分に(感情を出さないように)言い聞かせられるんです」(淺井)
このようにゴルフノートをつけるのは淺井だけではない。指導する松田鈴英らに必ずゴルフノートをつけさせるというプロコーチの黒宮幹仁は、淺井の取り組みをこう評価する。
「ノートをつけると、考えたり感じたりしたことを書くことで頭の中を整理できるから、同じミスをしなくなるんです。コーチがついていない淺井選手にとっては、こういう球が出たときはこうやって直してたなといったことを、ノートを見返して確認できることが一番の財産かなと思います」(黒宮コーチ)
黒宮自身は、松田含め教え子たちに“データ”も書くように指導しているという。
「今までのパーオン率だったりとか、データ的なことは絶対書いておけよと言っています。それ以外にも自分の感じたことだったり、レッスンの内容であったり、今の時代色んな情報がすぐに入ってくるので、ノートを書いて自分の中でしっかり整理しておくっていうことがプロゴルファーにとって一番大事なことかなと思います」(黒宮コーチ)
また黒宮は調子のバロメーターとしてもノートは活用できると話す。
「その日の体温とかを書いて欲しいと思いますね。体温が上がったときは疲れやすくて体も変に動いちゃうとか、体が動きにくくてこういう球が出たとかを毎日敏感になって記録していると、その日の状態での最高のパフォーマンスができるのかなと思います」(黒宮コーチ)
「データを残す」「情報を整理する」「調子を把握する」etc…ゴルフノートをつけることには様々なメリットがあるようだ。そして、ノートをつけるのはプロだけでなく、アマチュアゴルファーにも有用だと黒宮はいう。上達への遠回りが減らせるゴルフノート習慣、みなさんもはじめてみては?
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