勝負は最後の最後までもつれにもつれた
唯一の日本女子プロゴルフ協会公認ドラコン大会「朝日インテックpresents ドライビング女王コンテスト」がデサントレディース東海クラシックのの2日目終了後に開催されました。
そのルールはシンプル。続けて2球を打ち、フェアウェイもしくはファーストカットにとどまったボールの飛距離を争うというものです。出場選手は立候補あり、推薦ありの14名。女子プロファンならご存知の、飛ばし自慢の名前がズラリと並びます。少し長いですが、一覧を掲載しておきましょう。
エイミー・コガ
イ・ミニョン
小祝さくら
河本結
服部真夕
ペ・ヒギョン
山路晶
原英莉花
松田鈴英
葭葉ルミ
渡邉彩香
三浦桃香
野澤真央
穴井詩
さて、その大会の模様を、以下敬称略でお伝えしましょう。
トップバッターはエイミー・コガ。いきなり249ヤードを飛ばしますが、続くイ・ミニョンがすかさず250.5ヤードと記録更新。その記録を小祝さくらが塗り替え、それを河本結が塗り替え…と次々に記録が塗り替えられていき、盛り上がる展開に。
7番手に登場した黄金世代の山路晶が257.8ヤードを記録したことで、雰囲気的には「260ヤード出せば3位までには残れる」という感じになってきました。
優勝候補の一角の原英莉花は、インパクトで声を出しながら打つも253.1ヤードと記録更新ならず。続く松田鈴英はフェアウェイに置けず、記録なし。やはり260ヤード越えを狙うとなると飛ばし屋たちのスウィングにも力みが見えてきます。
停滞したムードを一蹴したのは葭葉ルミ。その2球目の記録はなんと、272.3ヤード! 260ヤードどころか一気に270ヤードを越えトップに躍り出ます。練習日に取材した際は47インチのドラコン用ドライバーでマン振りしていましたが、使用クラブは普段から使う46インチのロッディオのヘッドにテンセイのシャフトを組み合わせたもの。手に馴染んだクラブで記録を出してきました。
ピーンと張り詰めた緊張感の中、2015-2016年に連覇を達成した渡邉彩香が放った2発はフェアウェイをとらえられず、記録なし。続く三浦桃香は264ヤードと見事な一打を放ちますが、葭葉には届かず。そして最後の最後、昨年覇者でドライビングディスタンス1位の穴井詩が登場します。
1球目は力み過ぎたのか右へ。残るはわずか1球。272.3ヤードを超えられるか、否か……張り詰めた空気はマックスです。1千人は越えるであろうギャラリーがいるにも関わらず水を打ったような静寂の中、スウィング一閃。ボールは中弾道でフェアウェイセンターに真っすぐに飛んでいきます。記録は……276.2ヤード! 文字通りの最後の1球で連覇を達成しました。うーん、非常にアツい展開でした。
穴井詩は「名だたるゴリラたちの中で1番になるのは嬉しい、今週は(予選落ちのため)稼ぎはこれだけなので」と賞金の50万円を笑顔でゲット。2位の葭葉、3位の三浦も予選落ちでしたから、3選手はそのエネルギーを飛ばしに変えたのかもしれません。
穴井と葭葉は同じシャフト、穴井と三浦は同じヘッドだった
さて、注目は上位3人に共通するのは同じシャフトを使用しているところ。ミツビシのテンセイで、穴井と葭葉は「オレンジ」、三浦は「ホワイト」を使用していました。いずれも普段から試合で使うドライバーでの記録なので、飛距離と方向性のバランスがいいのだと思います。穴井と三浦は、女子ツアーで人気の高い「エピックフラッシュ サブゼロ」を使用していました。
最後の1球は方向性を重視したと言う穴井に飛ばしのコツを聞くと、
「振り遅れないように、腕のポジションが体の前にあること、体から外れないようにすること」(穴井)
と、基本に忠実なコメント。葭葉、三浦にもコツを聞くと、こんな答えが返ってきました。
「合宿ではインパクトで声を出すように練習している。それがよかった。普段から長くて重いバットを振るなど振れることを重視している」(葭葉ルミ)
「飛ばしのコツは力まないこと。今日やってそれがよくわかった」(三浦桃香)
終わってから上位3人はメディア用にデモンストレーションで打ってくれましたが、3人とも「デモのほうが当たった」と口を揃えていました。一番の飛ばしのコツは、やっぱり力まないことのようです。