地味で精神的にキツい練習が多いからこそ、いつも笑っていることが大切
以前「あなたにとってゴルフとはなにか?」と問われ、「仕事です」と答えた渋野日向子。そして、“チーム渋野”は、仕事で結果を出すためには、なにより楽しむこと、笑顔でいることを重視しているようだ。
どういうことか。まずは、「デサントレディース」開幕直前、青木翔コーチに渋野の活躍を占ってもらった際のコメントを再掲したい。
「試合のプレッシャーのかかった中で、どれだけ楽しんでプレーできるかだと思います。彼女自身、初心に帰ってってことを言っていましたし、ゴルフを純粋に楽しんでもらえたら。その中で結果を出せる選手なので」(青木)
ゴルフを楽しむことができれば、自ずと結果はついてくる。実際、その言葉を裏付けるように渋野は、デサントレディースの優勝インタビューで、AIG全英女子オープン終了後は「ゴルフを楽しむことができなかった」という思いを吐露してもいる。
しかし、先週の「日本女子プロ」で連続オーバーパーなしの記録が途絶えたことで気持ちが吹っ切れ、デサントレディース初日は「久しぶりに楽しくゴルフができた」とコメント。奇跡の大逆転優勝へとつなげた。
渋野にとって“ゴルフを楽しむ”とはどういうことなのか。優勝後、改めて青木コーチに聞いてみた。
「(渋野にとって)ゴルフは仕事であって、辛いこともたくさんあります。トレーニングはきついし、僕が課す練習は地味で精神的にもきついものが多いです。だからこそいつも笑っていられるようにと思っています。彼女が楽しめるということは、僕自身も楽しくないとそんな空気は作れないので、なにより僕自身が楽しむようにしています。地味な練習をいかに笑顔でやり続けて、いかに強いバックボーンを作るかが大切だと思います」(青木)
楽しいから、地味な練習を続けられる。楽しんでいるから、周りの人も応援したくなる。ゴルフ=仕事を楽しむ。青木と渋野の師弟が実践する笑顔の力で強くなる、いわば“シブコメソッド”。ゴルファーにとどまらず、広く仕事を持って働く人すべてが参考にできる考え方かもしれない。