秋の新作アイアンが続々と発表・発売されているが、それらを打ち比べて感じたのが「アイアンの二極化」だと話すのは業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人だ。その理由を聞いた。

アイアンが「ミスヒット前提」と「操作性重視」の二極化している

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。先日、ゴルフダイジェストさんの企画で最新モデルのアイアンをまとめて試打させて頂く機会を頂きました。今日はその時に感じた率直な意見をお話したいと思います。

数十種類のモデルを打ち比べて感じたことは、本当に曲がりが少ないなと思うモデルが増えたこと。ボールの進化の影響もあるのですが、芯で打った時はもちろん、多少ミスヒットをしてもサイドスピンが入りにくく、飛び出した方向に対してほぼ曲がらずに飛んでいくモデルが多かったです。これはアベレージ向けのモデルに限らず、アスリートやプロが使う一部のモデルにも同じような印象を持つモデルがいくつかありました。

画像: 数十種類のモデルを打ち比べて感じたのは「ミス前提」で作られているような曲がりが少ないモデルが増えているということ(撮影/有原裕晶)

数十種類のモデルを打ち比べて感じたのは「ミス前提」で作られているような曲がりが少ないモデルが増えているということ(撮影/有原裕晶)

私がゴルフを始めて25年以上経ちますが、ここまでアイアンが変化したことはなかったと記憶しています。極端な言い方かもしれませんが、ミスヒットを前提にクラブが設計されているというか、ミスをミスにしない非常に結果重視のモデルが増えたというのが率直な感想です。

具体的な特徴としては、ブレードが長く重心距離が長いモデルを指します。それだけ曲がらないアイアンが欲しいというゴルファーのニーズが強いのでしょう。アベレージゴルファーには昔からあるニーズですが、それがアスリートやプロ、上級者に向けたモデルにまで影響を及ぼしているのは、そのクラスのゴルファーでさえも曲がりの少ないアイアンを望んでいるからなんでしょうね。

個人的にプロや上級者がそのようなアイアンを望むようになってきているのは、ドライバーの性能変化に引っ張られているのだと思っています。世界のトップランカーでも操作性を重視したドライバーを使う方は、ほとんどいなくなってしまいましたから。

その反面、操作性を重視したブレードが短めで小ぶりなアイアンも多くありました。今年発売されたマッスルバックモデルは近年で一番多く、キャビティであっても操作性を重視したモデルがいくつかありましたね。操作性を重視したモデルと言えども、ミスヒットに強かったり、曲がり幅を抑えたモデルもあったりと、このジャンルでも異なる特徴を持つモデルがあり、操作性を重視したモデルの中でもバリエーションがあり、興味深かったです。

画像: PRGR egg(左)のようなミスに強いウッド的アイアンが増える一方、ミズノプロ120(右)に代表されるマッスルバックモデルの発売も多い(撮影/有原裕晶)

PRGR egg(左)のようなミスに強いウッド的アイアンが増える一方、ミズノプロ120(右)に代表されるマッスルバックモデルの発売も多い(撮影/有原裕晶)

この対極と取れる性能を持ったモデルに分けられる動きは、ドライバーと同じような挙動を持つアイアンの方が結果は出やすいという考え方と、ドライバーを含めたウッド類とアイアンは用途が違うから別物として扱った方が良いという考え方があるからだと私は分析しています。

どちらの考え方が今後の主流となるのかはクラブの売れ行きや使用プロの活躍によって変わってくるでしょう。皆さんはどちらが主流になると予想しますか? それとも全く別の考え方が出てくるでしょうか?

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