浮いているのか沈んでいるのかをジャッジし、打ち方を選ぶ
練習日から大勢のギャラリーが詰めかけ、「写真撮影OK」だった10番ホールのティグラウンドでは、渋野選手を写真に収めようとまるで記者会見のようなシャッター音が鳴り響いた今日の日本女子オープン練習日。渋野選手自身はリラックスした様子で、成田美寿々、青木瀬令奈の両選手、アマチュアの西澤歩未さんとともに練習ラウンドをこなしていました。
さて、ナショナルオープンというと、タフなセッティングのなかパープレー前後の攻防となるイメージがありますが、今年に関してはそうはなりそうにありません。フェアウェイは広く、距離はそう長くなく、なによりグリーンが止まりやすく、スピードもそこまでではないため、バーディ合戦の様相を呈しそうなのです。渋野選手も「(優勝スコアは)20アンダーくらいいくんじゃないか」と予想していました。
そんな中、カギを握るのがアプローチではないかと思います。スコアを伸ばす展開になるといいましたが、ティショットを曲げたり、セカンドでミスをすると待ち構えているのは深いラフ。一転してパーセーブに全力を尽くさなければならない展開になります。
フェアウェイにボールがある場合と比べ、ラフからは様々な打ち方を要求されます。渋野選手の場合は練習を見ていても基本的には打ち方はひとつ。ときおりふわっと浮かせるアプローチも練習していました。そのあたりの戦略を、青木翔コーチに質問してみました。
「普通のライはいいけど、沈んだり浮いたり、葉っぱの太さだったり(状況によって)全然違うので自分で工夫しつつやっていかなきゃいけないと思います。今日パター(練習)していないのもそれを意識しています」(青木)
青木コーチによれば、ふわっと浮かせるアプローチは今年に入ってから課題として取り組んでいるとのこと。「ラフで浮いたり沈んだりしたときのジャッジや、状況に応じてどういう球を打つかというものを覚えてもらったり」(青木)している最中なのだとか。
あまりにも成長と、それに伴う結果が凄すぎて忘れがちですが、渋野選手はツアールーキー。毎試合、初めてのコースでトーナメントを戦い、その戦い方を覚えている真っ最中なのです。
さて、AIG全英女子オープンに勝ったこともあり、渋野選手は4日間トーナメントに強い印象があります。「スロースターターっていうのもありますし、(4日間あればたとえ出遅れても)追いつく時間ができますから」とは青木コーチの分析。
もともと青木コーチは彼女が初優勝するときは逆転優勝だろうと思っていたそう。そう考えると、4日間で戦われ、台風の影響での強風が吹く可能性もある今年の日本の女子オープンは、最後の最後までなにが起こるかわからない、そんな試合になるかもしれません。
明日以降も渋野選手のプレーを間近でウォッチし、レポートしていきたいと思います。