2016年にツアー撤退、2017年結婚、2019年アカデミー開校
国内ツアー通算4勝、11年には国内メジャー「日本女子プロゴルフ選手権」も制した華々しい実績。それに加え、アニメ・ゲーム好きを公言するキャラクターもあり、多くのファンからも愛された三塚。そんな彼女が故郷でもある茨城で「三塚優子ゴルフアカデミー」を開校した。
東京からクルマで2時間。現在、三塚が拠点を置く水戸市内の「東野ジャンボゴルフレンジ」に到着すると、三塚は笑顔で出迎えてくれた。

現在35歳。暴飲暴食をやめてトレーニングにも力を入れた結果、現役時代よりも印象としてはシャープに
17年の結婚を経て、ここ2年は「ほとんどクラブを握っていなかった」と主婦業に専念していたという彼女。実際、インスタグラムをのぞいてみると、夫への愛妻弁当などの写真が目をひく。
バド桃田賢斗似の夫のため「米の炊き方」からスマホで検索。今や料理上手に
聞けば、初めて包丁を握ったのも、わずか2年前だという。
ツアープロとして活躍中だった当時は「母が『もしものことがあったら危ないから』と包丁を持たしてくれなかったんですよ」と、料理はまったくしたことがなかったという。だが、バトミントンの世界ランキング1位の桃田賢斗似という旦那様ができてからは一念発起。
「ある日、ちょうど旦那が寝込んでしまって。それで仕方なく始めたんですけど、もうどうすればいいか分からなかったので、携帯のスマホでひたすら検索を繰り返し『米の炊き方』から初めて、2時間以上かかってできた料理が卵がけ雑炊です(笑)」(三塚、以下同)
自分のことながら女子力の低さに「愕然とした」と当時を振り返るが、苦心の末に完成させた卵がけ雑炊を「『おいしい』と主人が言って食べてくれたんですよ」。このひと言で料理にハマったという三塚。今では丼ものや肉料理が好きな旦那様のリクエストにはほとんど応えられるほどに、メキメキと腕を上げたという。
三塚と言えばツアーで活躍中、当時の20代の女子では珍しい『マンガとゲームが好きな』アキバ系ゴルファーとしてファンの間でも親しまれていた。
「もう、さすがにゲームはやらなくなりましたけど、マンガは今も読んでいますね。こち亀(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』原作:秋本治)は173巻まで集めました。好きなキャラクターですか? 爆竜大佐です!(笑)なんかコワモテな見た目なんですけど、実際は……みたいなギャップがいいですね。けっこうゴルフマンガも読みますよ。今は昔読んでいた『風の大地』(原作:坂田信弘)をまた読み返してます。最近は料理にもハマっているので『きのう何食べた?』(原作:よしながふみ)とかも読んでいます」

17年に実業家男性と籍を入れた日は2月9日というほど『肉好き』だった三塚。当時の写真を見て「この量はヤバイ(笑)。もうカルビは胃もたれしますから、今は赤身ばかり」と並んだ皿の3分の1ほどになったという
07年の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」での初優勝時には「賞金で『こち亀』を全巻買う」と話したほどのマンガ好きは今も健在。最近は結婚後にできた趣味の料理マンガも読んでいることなど、嬉々として話してくれた。
度重なる怪我で体は限界だった
本業のツアープロとしての競技生活は‟波乱万丈“だった。ルーキーイヤーだった07年の「ミヤギテレビ杯」での優勝から、08年「ニチレイPGMレディス」、09年「ダイキンオーキッドレディス」と3年連続で勝利を飾るなど、当時はツアーのなかでも看板的存在。
だが、その後は右ひざや右手など相次ぐケガに悩まされ、さらに10年の「サロンパスカップ」では、競技委員にスロープレーを指摘されたことに端を発する「自主棄権」により、協会から罰金200万円の制裁を受けるなど逆風にもさらされた。
本人にとっては苦い思い出でもあるはずの10年の「サロンパスカップ」での出来事も、ある意味では奮起の源になったという。
「けっこういろんな人から叩かれましたので、しんどかったのですが、自分の性格なのか、汚名返上するにはもう『勝つしかないな』ってずっと思っていたので。それもできれば大きな大会で」と翌11年には見事に「日本女子プロゴルフ選手権」でメジャー初優勝を達成した。
だが、一方で長丁場のツアーで酷使した肉体は‟限界”だった。
「結果的には勝ちましたが、もうその時には右ひざの半月板も中で割れていました」
その後は、相次ぐケガとの戦い。16年にはツアー中に右手を損傷し公傷制度を申請し、適用されたが「ケガした体だと恐怖心から100%の状態で練習すら思うようにできなくなった」と、18年シーズン以降、ツアーの表舞台に戻ることはなかった。
「いずれは故郷の茨城でジュニアの育成に関わりたいなと思っていたので。地元の水戸から‟次に“活躍できるツアープロを育てたい。大人のアマチュアゴルファーには、まずゴルフの楽しさを。それをまだ知らない人にこそ、教えたい。『1回打ちっぱなしに行ったきりで、つまらないから辞めた』みたいな人にこそ、関わりたい。そういう人でも『スコアは悪かったけど、楽しかった』と言ってもらえるティーチングをしていきたいですね」(三塚)
プレーヤーとしては、平均270ヤードを誇ったツアー屈指の飛距離を誇った三塚。「飛ばしの秘訣?それは、ここでは教えられません! 私、教えることなくなっちゃう!企業秘密(笑)」。国内メジャーも制した往年の飛ばし屋から、その秘訣を聞きたい人は現在、彼女が拠点を置く「東野ジャンボゴルフレンジ(☎029-247-1463)」に足を運んでみるといい。お試しレッスン30分2200円で、ツアー4勝の選手から教えてもらえる機会なんて、そうはないだろう。
ちなみに、記者も“役得”で三塚プロの記念すべき(?)4人目のレッスン生となり、三塚メソッドを体験してきた。その模様はまた改めてお伝えするので、お楽しみに。