プロがアベレージ向けモデルを打つとどうなる?
TOUR WORLDシリーズのやさしいモデルとしてラインナップに加わった「XP-1」。ヘッドスピード42m/s以下のアベレージゴルファーをターゲットに、やさしく飛ばせるよう設計されたアマチュア特化モデルだ。
オリジナルシャフト「VIZARD43」(SRフレックス)は45.25インチ、44.5グラムの短尺・軽量設計。ヘッド性能+短尺シャフトで芯を食って飛ばすというわけだ。
今回はロフト角10.5度のモデル、シャフトは「VIZARD43」のSRフレックスを使用して試打を行った。まずはノリーから試打。
「顔からしてつかまりそうな感じがしますね。ヘッド(のカラーリング)が黒のメタリックなので少し絞ったような印象もあります」とノリー。そのまま一打。意外なことに、ボールはやや右へ。「シャフトが柔らかいぶん右に流れた感じです」とノリー。無意識に“つかまりすぎる”ことを警戒した結果、逃がす動きがスウィングに入ったようだ。
弾道測定器フライトスコープの計測結果では、キャリー255ヤード、トータル279ヤード。打ち出し角12.4度。ヘッドスピード45.4m/sに対しボール初速は67.6m/s。スピン量は2574rpmだった。
1打目の結果を受け、その後も試打を続けたノリー。ボールはつかまったドローボールで落ち着き、そのすべてでヘッドスピードが45m/sを超えていた。それでも「しっかり振れる」ことをノリーは評価する。
「試打したのは柔らかめのSRシャフトでしたが、ヘッドスピード45m/sでも問題ありません。むしろ、冬場であればちょうどいいくらいではないでしょうか」(ノリー)
低打率のホームランバッターではなく、高打率の中距離ヒッターイメージ
続いて中村はヘッドスピード40m/s前後、つまりXP-1に“ドンピシャ”なアベレージゴルファーを想定して試打を行った。まずは構えた印象を聞いてみよう。
「ヘッドのフォルムは奇をてらっていません。安心感がある大きめの顔でフェースもよく見えます。極端に左を向いたり、逆に開いていたりっていうこともないですね」(中村)
中村は1球目からド真っすぐの弾道で239ヤード飛ばす。
「球が上がりますね。スピン量も2349回転で、打ち出し角15.6度。このくらいのヘッドスピードに対して一番飛ぶような弾道って感じですね」(中村)
中村は計測結果の「ボール初速」に注目してほしいと話す。
「やっぱりヘッドスピードに対してボール初速が高いですよね。しっかりミートしているし、芯の広さも感じます。スピン量も低スピンになりすぎない程度なので、球が上がらないってこともなさそうですね」(中村)
では、試打を終えた2人にそれぞれXP-1の特徴を語ってもらおう。
「打った感じもやさしくて、オーソドックスに構えられますね。ヘッドスピードの遅いアベレージだけでなく、振っていけるゴルファーにもしっかり対応していました。シャフトのフレックスをもっと硬めのものに替えるだけで全然使えちゃうと思います。『ホンマは難しい』と敬遠してしまっている人も手に取りやすいモデルです」(ノリー)
「ヘッドスピード40m/s前後だと、(シャフトのフレックスは)SRでちょうどいい感じ。『マン振りで一発の飛び!』というより、コースでスコアに直結するような設計になっていますね。40m/s前後で球がバラつく、という方には非常に安定して打てるドライバーなんじゃないかなと思います。ただ、元々スピン量が多い方だとかかりすぎてしまうかもしれませんので、ロフト角やシャフトスペックを吟味する必要はありそうですね」(中村)
44インチ前後で組み上げることを前提とした短尺仕様のフジクラ「スピーダーエボリューションSLK」シャフトが工房界隈で人気を博したり、実は注目を集める短めクラブ。プロギアからは44.25インチ仕様の「egg 5500インパクト」が発売されたこともあり、静かなブームがまだ続きそうな気配だ。
協力/PGST