畑岡奈紗の大会3勝目となる完勝で幕を下ろした日本女子オープン。渋野日向子はスコアを伸ばせず、9アンダーでホールアウトし、7位で大会を終えた。そのプレーの模様を、プロゴルファー・中村修が現地からレポート!

ショットでバーディチャンスに次々つけるも、パットが入らなかった

4日間吹き続けた風に加えて、前後左右に振られた厳しいピンポジションが加わって、伸ばせる展開にならなかった日本女子オープン。

渋野日向子選手は、1番から14番までパーを並べる我慢に我慢を重ねる展開となりました。ショットは何度も何度もバーディチャンスにつけるのですが、バーディパットが入らない。

画像: 4日間を通じてショットはキレたが、パットが入らなかった渋野

4日間を通じてショットはキレたが、パットが入らなかった渋野

15番でやっと初バーディがくるも16番でボギー。18番パー5でも決め切らず、会見場に現れると開口一番「情けないです」と悔しさをあらわにしていました。

4日間を通じてショットは切れていました。しかし、ついにパットの歯車が噛み合うことはありませんでした。

初日こそ25パットで5アンダーでしたが、2日目は33パット、3日目は30パット、最終日は32パット。ゴルフにタラレバはありませんが、2日目以降は早い段階でいいパットがひとつでも入っていれば……という展開が連日続きました。それでも7位に入っているのは、むしろお見事と言ってもいいくらいです。

ただ、思い返してみると優勝した畑岡奈紗選手は初日連続3パットのボギーという最悪の出だしでした。そこからグリーン上の課題を自分で修正し、歯車を自分で噛み合わせたのはさすが世界ランク一桁です。

さて、4日間渋野選手のプレーを見て、もっとも伸び代を感じたのはアプローチ。とくに深いラフからのアプローチでは、ラフにフェースが引っかかり、強く出たり、下をくぐったりということがありました。2位タイで大会を終えた元世界ランク1位のユ・ソヨン選手はこのようなアプローチが非常に上手く、それを間近で見られたのは大きな収穫だったと思います。

画像: 深いラフからのアプローチは渋野の「伸びしろ」だと中村は指摘する

深いラフからのアプローチは渋野の「伸びしろ」だと中村は指摘する

このようなアプローチ、そしてパッティングは渋野選手の伸びしろ。現段階でも強い渋野選手ですが、伸びしろもまだまだあります。もっともっと、強くなるのではないでしょうか。

さて、最後に印象的なエピソードを。最終日の今日、パー3の3番ホールを私は青木翔コーチと観戦していました。昨日左ピンに対して左に外してボギーを打ったこのホール、今日は同じようなアゲンストのなか、右奥にピンが切られていました。非常に難しいピンポジションです。

青木コーチも、ここはさすがにグリーンセンター狙いだろうと予想するなか、渋野選手の放った弾道はなんとピンにど真っすぐ。奥行き5メートルの非常に狭いエリアに止める見事なショットを見せてくれました。

ショット力は抜群。気持ちの強さも十分。そこにアプローチとパターのレベルがさらに上がってくれば、つねに世界レベルで戦える選手になれるはず。優勝した畑岡選手とのライバル物語は、まだ始まったばかり。彼女たちのこれからが、ますます楽しみになる日本女子オープンでした。

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