280グラムと「11」と、299グラムの「X」に
11代目にしてゼクシオが大きな変化のときを迎えた。ゼクシオのリブランディングを全面に打ち出し、前作であるゼクシオ テンの後継機といえる「ゼクシオ11(イレブン)」に加えて、新たに「ゼクシオX(エックス)」を加え、2ラインナップ化することを発表したのだ。
過去にあったゼクシオハードスペック、ゼクシオREVOといった派生モデルではなく、またゼクシオプライムのような兄弟ブランド的位置付けでもなく、どちらもフラッグシップという位置付けだ。
ゼクシオ11は2000年に登場した国民的ブランド「ゼクシオ」の最新モデルであり、多くの人がゼクシオに抱くイメージをそのまま進化させたモデル。青いヘッドで、軽量で振りやすく、打球音は爽快(のはず)だ。
ゼクシオの課題は、かねてユーザーの高齢化とささやかれてきた。初代、2代目、3代目といったモデルを手に取り、その飛びに魅了されたユーザーが、モデルチェンジごとに(あるいは何代かを経た後に)新しいゼクシオを手にしていく。好循環である反面、ブランドが長寿化するにつれ、「レギュラーモデル」であるゼクシオのスペックがそのユーザー層に合わせるように世間一般の基準では“シニア向け”的なそれになっていたのも事実だろう。
その課題に対しての打ち手、それがもうひとつのフラッグシップである「ゼクシオX」だと言えそうだ。
「(ゼクシオ11は)60代以上が中心とした、体力の落ち込みをカバーするようなクラブ。(ゼクシオXは)40~50代を中心に、ミスを気にせず振り切りたいというクラブ」(川松英明・住友ゴム工業執行役員スポーツ事業本部長)
ドライバー、アイアンなどのクラブに限らず、ボールも2ラインナップ化。ブランドロゴ、ブランドメッセージも一新している。
さて、2ブランドを理解する上ではスペックを比較するのは近道だろう。ドライバーを例に、ゼクシオ11とゼクシオXを比較してみたい。
まず長さを見ると、ゼクシオ11は45.75インチに対し、ゼクシオXは45.5インチと0.25インチ短い。そして、総重量はゼクシオ11が280グラム(R)。ゼクシオXは299グラム(S)と重くなっている。ちなみに、前モデルのゼクシオ11は45.75インチで270グラム。ゼクシオ11はそれより10グラム重くなっているが、それはウエイトプラステクノロジー(後述)の影響が大きいようだ。
また、大きな違いとして挙げられるのは、ゼクシオ11がフルチタンなのに対し、ゼクシオXはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)複合構造となっている点。「ゼクシオといえばフルチタン」だったが、ゼクシオXはついに複合構造となった。一方、ボディの慣性モーメントを高め、反発性能を高めたカップフェースを搭載するという点は両者の共通点であるようだ。
テーラーメイドの「ツイストフェース」やキャロウェイの「ジェイルブレイクテクノロジー」など、近年では海外ブランドを中心に印象的なテクノロジーを搭載したドライバーが人気を集めているが、今回のゼクシオのキーテクノロジーは「ウエイトプラステクノロジー」。
手元側を重くすることでトップのポジションを安定させ、打ちやすく、飛ばせるというテクノロジーだ。ゼクシオ11のドライバーにはグリップエンド部分に10グラム、ゼクシオXには6グラムの重量物が搭載され、このテクノロジーはアイアンにも共通で搭載されているという。
顔、打球音、振り心地といった部分でゼクシオにはゼクシオにしかないような「味」がある。ゼクシオ 11はその味の部分を継承したモデル。ゼクシオXはその味を踏襲しつつ、外ブラ的な高慣性モーメントドライバーを目指しているような印象だ。
ブランド20年の節目に訪れた2ラインナップ化という大きな変化。とくに、新たにラインナップに加わったゼクシオXがどのように評価されていくのか、興味深い発表会となった。