ペイン・スチュワートが不慮の飛行機事故でこの世を去ってから10月25日で20年。当時10歳だった息子のアーロンが来年のLPGAツアー開幕戦でトーナメントディレクターに就任するというニュースが伝わってきた。

「いつも父にまとわりついていました」

父が非業の死を遂げる直前まで少年にとって父の練習について行くのが日課だった。

「ゴルフ場で一緒にカートに乗ったり練習する姿を眺めたり、いつも父にまとわりついていました」(アーロン)

だが当時の彼はゴルフよりも他のスポーツに心惹かれていた。それでも大学は父の母校メソジスト大学に進みゴルフは続けた。しかし本人には「プロになりたいという欲求がまったくなかった」。ゴルフの世界では父の存在が大きすぎて「いま思えばバーンアウト(燃え尽きて)していたのかもしれません」

卒業後はダイヤモンドリゾート社でマーケティングを担当。そして9月にエグゼキュティブディレクターに昇進。同社がスポンサーを務める「ダイヤモンドリゾート・トーナメントオブチャンピオンズ」のトーナメントディレクターに就任した。

画像: メジャー3勝を挙げたペイン・スチュワート。その息子のアーロンは来年のLPGAツアー開幕戦でトーナメントディレクターに就任するという

メジャー3勝を挙げたペイン・スチュワート。その息子のアーロンは来年のLPGAツアー開幕戦でトーナメントディレクターに就任するという

「新しい顔ぶれがツアーで活躍する姿を見るのはとてもエキサイティングです。たとえばボランティアーズオブアメリカクラシックではルーキーのシャイアン・ナイトが優勝しました。新しい時代の息吹を感じます。来年の開幕戦に向けツアー全体が盛り上がっていきそうです」

ナイトをアーロンが名指しして語ったのには意味がある。じつは彼女にも家族を不慮の事故で失った辛い過去があるのだ。

11年前のある日、その知らせは唐突に彼女のもとに届けられた。トラックを運転していた兄・ブランドンが逆走してきた車に衝突され尊い命を失ったのだ。のちに判明したのは相手が泥酔していたということ。

「(勝った試合では)もうひとりのキャディがいてくれたみたい」というナイトは天国の兄の存在を間近に感じながら賞金ランク120位から一発逆転、優勝を飾ったのだ。しかも生前兄が身につけていたフットボールの背番号『33』(それはナイトのラッキーナンバーでもある)を最終日のフロント9とバック9でそれぞれマークしての勝利だった。

ダイヤモンドリゾート・トーナメントオブチャンピオンズは今年新設され、過去2シーズンの優勝者が激突するエキサイティングな大会。プロは72ホールのストロークプレーで戦い、一緒に回るアマチュア(セレブ)はステーブルフォードで競うユニークなトーナメントだ。

メジャー3勝の父とは違った形でゴルフ界に携わっている息子。「このポジションにいられることがすごくうれしい」。30歳になったアーロンは相好を崩した。

This article is a sponsored article by
''.