フェアウェイを正確に捉えるショットメーカー
国内ツアー3勝で、2012年からシードをキープし続ける実力を持つ菊地絵理香選手。2017年以来優勝からは遠ざかっていますが、2連続予選落ちが続いた直後の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」(9/27~29開催)では3位タイ。先週の「スタンレーレディス」では初日から5アンダーとスコアを伸ばし、2位タイと調子が上向きです。
身長157センチと小柄で、ドライビングディスタンス232.49ヤード、順位にして73位と飛ばし屋ではありませんがフェアウェイキープ率が73.2453%と非常に正確性が高い。曲げずにフェアウェイからグリーンを狙っていくショットメーカーと言えるでしょう。
菊地選手のアドレスは、スクェアグリップで握る非常にオーソドックスな形(写真A)。バックスウィングでは下半身をどっしりさせ上体をしっかりねじっていることがわかります。トップ位置でのフェース向きも極端なシャットではなく、非常にニュートラルなスクェアポジションに収まっています。
特徴的なのはダウンスウィング(写真B)。腕が平行になるポジションまで下ろしていますが、まだ右足が踏ん張っていますよね。左への体重移動が非常に少ないんです。右側に重心を残したまま振っていくことで、アッパブローでボールを捉える準備ができています。
インパクト直前を見ると、クラブヘッドがボールよりも低いところから入っていることが分かります。絶対に体が突っ込まずにボールよりも右側にあることで、ボールにしっかりと力を伝えられていますし、やや軌道はアッパーになることでスピン量も少なくなり、157センチの身長でも平均230ヤード飛ばせるわけです。
一方でフィニッシュでは、左足1本でしっかり立っている(写真D)。このことからもインパクト後はしっかり体を回してボールを押し込んでいることがわかりますね。
ショットの正確性もあってパーオン率は15位、パーセーブ率7位と非常に高水準。しかし今年はパットに苦しんでいるようで、平均パット数(1ラウンド)は30.5665で80位、パーオン時の平均パット数も1.8488で60位となっています。
ただ、ショットだけでなくアプローチも得意な菊地選手。出身地が北海道ということで、洋芝で鍛えられたのではないかと想像できます。実際に取材をしていても、多くの選手やキャディからアプローチ巧者として名の挙がる存在です。
その実力が表れたのが先週のスタンレーレディスの最終日最終ホールパー5。ラフに埋まった3打目は出すだけで残り48ヤードの4打目、ショット地点からピンも見えない難しいアプローチをSWで打ち、チップインバーディ。私自身、現地でその様を目の当たりにして、グリーン周りの上手さを改めて感じました。
ショットの調子は上々で、アプローチもバツグン。3位タイ、2位タイとくれば次は……と期待がふくらみます。今週末のプレーにも注目したいです。