「自分を脅かすような存在は見当たらないよ」
大会前のインタビューでケプカは「ツアーに出はじめてから5年くらいたつかな。でもその間マキロイはメジャーに勝っていない。だから2人はライバル関係ではない」と言い放ったのだ。
目下世界ナンバー1のケプカとナンバー2のマキロイ。メジャー勝利からは遠ざかってはいても、マキロイはタイガー・ウッズ以降最強のプレーヤーという評価を受けている。
だがケプカは「自分を脅かすような存在は見当たらないよ。いまは自分が世界ナンバー1なんだ。目の前には洋々たる景色が広がっている。バックミラーで後ろを確認することはない。ライバルは見えてこない」と強気な発言を口にした。
たしかにここ3年でケプカはメジャー3勝を挙げ、昨季はすべてのメジャーで4位以内(2位、優勝、2位、4位)と大舞台で圧倒的な強さを誇っており、事実メジャーに関してケプカはマキロイを凌駕している。
しかし2018-19シーズンの最終戦ザ・ツアー選手権を制して年間王者に輝いたのはマキロイ。選手間の投票で選ばれるプレーヤー・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀選手賞)に輝いたのもマキロイだ。
「ファンが我々をライバル視するのは構わない。マキロイは素晴らしい選手だし彼のプレーを見るのは楽しいからね」(ケプカ)
ケプカの強気発言はマキロイにとってどんな作用をもたらすのか? じつは「良い刺激になっている」という見方もある。なぜならマキロイは世界ナンバー1を奪還するための強力なモチベーションを求めていたからだ。
「ケプカがこのゲームを支配しようとしていることは知っている。メディアから聞いていますから。でもそれにはまず僕を越えなければならない」とマキロイはいう。
2012年、タイガーの21歳に次ぐ史上2番目の年少記録(22歳)で世界ランク1位になった当時のマキロイはギラギラした獲物を狙う目をしていた。だが30歳になったいまかつてのギラギラ感はすでに失われている。そこに火をつけるのがケプカの発言だったとしたら……。
ケプカがなんといおうと2人は立派なライバルだ。これからもゴルフ界を引っ張り、盛り上げていってくれるに違いない。