大叔父は大リーグのMVP選手
全米オープン2勝、全米プロ1勝とメジャーに滅法強いケプカが本領を発揮した。「このセッティングでできうる最高のゴルフだった」とタイガーも脱帽するほどの内容。
タイガーのキャディ、ジョー・ラカバは「ケプカはどんな状況でも動揺しない。普通タイガーへの声援が選手になんらかの影響を与えるものだが彼はまったく動じない」とメンタルタフネスがケプカの強みだと強調した。
さらにコーチのクロード・ハーモン3世(ブッチ・ハーモンの息子)は「彼はゴルフおたくじゃないところがいい」と指摘。「あまりにゴルフが好き過ぎてメジャーに対するリスペクトが強すぎる」と語るローリー・マキロイとは対照的にゴルフへの思い入れが強すぎないのが逆にケプカの強みになっている。
大叔父は元メジャーリーグのピッツバーグパイレーツで活躍したショートストッパー。1960年にはワールドシリーズを制しナショナルリーグのMVPを獲得した逸材。つまりにケプカは生粋のスポーツ一家に育っているのだ。実際フットボール、サッカー、バスケットボール、野球となんでもござれのアスリートだった。
ところが10歳のときにあるアクシデントに見舞われる。交通事故で顔面を大怪我。以降激しく肉体が交錯するコンタクトスポーツができなくなったのだ。
フットボール選手のような立派な肉体を持て余しながらゴルフを選んだが、激しい動きのあるチームスポーツへの憧れは捨て切れなかった。ゴルフの手ほどきをしてくれた父でさえ「ゴルフはスポーツだとは思っていなかった」。
そんなケプカの意識を変えたのが躍動感溢れるプレーでファンを魅了するタイガーの存在だった。ある意味メジャーに滅法強い男を創り上げたのはタイガーなのかもしれない。
10年以上愛用するスコッティキャメロン T10 セレクト ニューポート2
ところで全米プロ初日、各選手が苦しんだグリーン上でボギーなし、7つのバーディを紡ぎ出したケプカのパターはフロリダ州立大在学中から使い続けているスコッティキャメロン T10 セレクト ニューポート2なのをご存知だろうか?
10年以上使い続けているエースパターは普段からめちゃくちゃ入るわけではない。今季のスタッツを見てもストロークゲインドパッティング(パットがスコアに及ぼす影響)は0.099で93位。平均パットも1.756で89位。飛距離が武器の選手だけにパッティングのデータがこれでも十分優勝争いはできる。
だがケプカの場合、いざというときのクラッチパットが決まるのだ。世界ランク1位の座を競い普段から仲の良いダスティン・ジョンソンがツアー20勝を挙げながらメジャー1勝にとどまりノミの心臓といわれるのとは対照的に、ツアー5勝中メジャー3勝のケプカは気持ちの強さが勝負どころのパッティングに現れる。
信頼度100パーセントの魔法の杖で大会連覇は果たしてあるのか注目だ。