中学3年で国体代表。ナショナルチーム入りも早かった
「(部員のなかで)一番安定感があり、信用度が高いのが古江でした。団体戦では一番確実にスコアを作ってくれる選手で、スウィングがいいから乱れないし、崩れないのが1番の魅力です。それが(卒業後)飛距離も出るようになり、正確さもすごく増してきました」(角谷)
富士通レディースで史上7人目のアマチュア優勝を果たした古江彩佳の名前が全国に知られるようになったのは2015年。中学3年生の古江は、関西中学校選手権、全国中学校ゴルフ選手権などを制し、
一躍世代のトップランナーに名乗りを挙げている。
「3年生の頃には、中学生として初めて兵庫県の国体選手に選ばれています。中学生のころから古江を見ていますが、(早く活躍できるのは)天性のものを持っていると思います。しっかりと練習する子ですし、自分の弱点をしっかりと把握し、その上で練習ができる子です」(角谷)
そんな彼女の親友であり戦友であり、最大のライバルとも言えるのが同じ学年、同じ滝川第二高校ゴルフ部の安田祐香だ。
「古江と安田はクラスもずっと一緒で、ゴルフを離れるとめちゃめちゃ仲がいいんです。二人ともオンとオフが切り替えるられるから、オフのときはホンマの女子高生ですよね(笑)。団体戦では力を合わせてきましたし、全国二連覇もしました。ただ、個人戦になるとどちらかが勝って、どちらかが負けるのがゴルフなんですね。先に古江が全中(全国中学校ゴルフ選手権)を勝ってナショナルチームに入って……安田は(2017年の)日本女子アマに勝って、一気に変わったんです」
ゴルフファンならば、日本女子アマに勝って一気に勢いづき、女子ツアーで当たり前のようにトップ10に入る安田の姿をテレビ越しにでも見たことがあるはず。2019年に新設された「オーガスタ・ナショナル女子アマ」でも3位に入るなど、アマチュアゴルフ界を超え、一般ゴルファーにまで広く知られるレベルでのブレークを果たしたのは安田が先。
ただ、先にプロの試合で勝利をつかんだのは「ポーカーフェイスだが、内には闘志を秘めたタイプ」(角谷監督)だという古江のほうだった。追いつけ・追い越せでしのぎを削る仲。この2人の傑出したゴルファーが同じ学年に同じ高校のゴルフ部にいたというのだからすごい。
2000年度生まれで、1998年度生まれの“黄金世代”に対して、“プラチナ世代”と呼ばれる古江・安田の世代。彼女たちの多くは黄金世代の中学・高校時代に同じ大会で戦っており、今はプロで活躍している先輩たちに勝った経験のある選手たちもいる。
次から次へとスター候補が現れる昨今の女子ゴルフ界にあって、プラチナ世代として初めてプロでの勝利をつかんだ古江彩佳。女子ゴルフ界に、新たなビッグウェーブが押し寄せようとしている。