当たれば270ヤード。でも上がってみればダボ。これなんで!?
渋野日向子選手の活躍もあり、女子ツアーが盛り上がりを見せています。渋野日向子選手のドライバー平均飛距離は245ヤード前後といったところで、もちろん飛ばし屋の部類。女子のトーナメントプロの平均飛距離は、およそ230〜240ヤードといったところでしょうか。
もちろんこれはキャリーとランを合わせたトータルの飛距離。キャリーの数字でいえば、210〜220ヤードといったところが女子プロの“実測値”だと思います。
これを聞いて、みなさんはどう思うでしょうか? 「なんだ、女子プロってそれくらいしか飛ばないのか。下手するとおれのほうが飛ぶな!」と思う方も中にはいるかと思います。しかし、それは大きな間違いです。
女子プロと私ではレベルがはるかに違いますが、競技ゴルファーという巨大なくくりでは一緒。およそ競技ゴルファーのなかで、ティグラウンドで1ヤードでも遠くに飛ばしたい! とクラブをマン振りするゴルファーはいません。もちろん、そのようなホール、そのような状況もあるかもしれませんが、基本的にはすべてがコントロールショット。いかに安全で、いかに次を打ちやすいところに置くかを、競技ゴルファーはティグラウンドで考えます。
10メートルのロングパットを、みなさんはどう打つでしょうか。力任せに、1ヤードでも遠くへ! なんて打たないですよね。できればカップの1メートル圏内くらいで止まるように、慎重に距離を合わせて打つはずです。競技ゴルファーは、ティショットでもそれと同じことを基本的には行っているといえば、わかってもらえるでしょうか。
ZOZOチャンピオンシップに出場した世界の強豪たちの多くは、大きめのキャリーで飛ばし、落下してからランの少ない弾道でフェアウェイをキープしていました。最大飛距離を狙っているわけではないんです。
それでもやっぱり、遠くに飛ばしたい。そう思うのは自然です。きっと女子プロだってそう思っているでしょうし、私も強くそう願っています。しかし、同伴競技者と飛距離を比べて、どうだ俺のほうが飛んだぞと胸を張っても、セカンド地点が飛びすぎたせいでラフだったり、左足下がりでは意味がないんです。
ゴルフは、ティショットで1ヤードでも遠くに飛ばしたほうが高いポイントが得られるといった、スキーのジャンプのような競技ではありません。OBや池、バンカーなどの危険を避け、なるべく平らで、できればピンを狙いやすい場所を狙い、だいたいその周辺に止まるようにショットをマネジメントする。たとえできなくても、1打1打、それをやる。
その積み重ねだけが、スコアをよくするのではないでしょうか。