来日後は超多忙! それでも初日首位
来日してからタイガーは分刻みのスケジュールをこなしてきた。大会前にはナイキのトークショーや明治大学ゴルフ部女子チームにレッスンを行い、21日に松山英樹やローリー・マキロイらと『ザ・チャレンジ: ジャパンスキンズ』に登場。暗くなるまで上機嫌のプレーを続けた。
指定練習日の火曜日は荒天だったこともありコースに姿を見せなかったが、その夜行われたプロアマの前夜祭では孫会長や前澤ZOZO前社長らと壇上で鏡開きに参加したり乾杯の音頭をとったり。
さらにトークショーまでこなす“お忙氏”ぶり。大会の目玉だから仕方がないとはいえ、これから試合が始まるのだから少し集中させてあげて欲しいとこちらが思ってしまうほど。
しかし蓋を開ければ3連続ボギーから見事すぎるバウンスバックで6アンダー首位タイ。本人も「あんなに醜い(ugly)出だしからまさか6アンダーが出るとは思いもしなかった」とうれしい誤算に照れ笑い。
9バーディを紡いだ要因は入れごろ、外しごろのパットをすべて決めたこと。10メートル近いロングパットをねじ込むシーンもあったが、べたピンではない1.5から3メートルのパットをことごとく入れたのが大きかった。
昨シーズンは夏場以降思うようなプレーができず全英オープンで予選落ち。8月のノーザントラストは棄権。BMW選手権で37位に終わり昨年奇跡の復活Vを飾ったザ・ツアー選手権出場を逃し「連覇ができなくなった」とコメントしていた。
これはとりもなおさずヒザの故障が原因で、シーズン終了直後に手術を受ける英断を下した。
「あのころのビデオを観るとヒザをかばって腰にも負担がかかっていたのがわかる。特に大きいのは(初日)ちゃんとしゃがんでパットのラインを読めていること。プライベートのラウンドでは(しゃがんでラインを読むことが)できていたけれどそれを実戦でできたのが収穫」(タイガー)。久々の実戦でも心技体が揃えば十分優勝争いできるということだ。
腰を沈め低い体勢でラインを読む。タイガーほどの大物でも基本がいかに大切か、ということ。
ZOZOで勝てばサム・スニードが持つツアー最多勝利記録82勝に並びかける。日本開催のPGAツアーで記録達成となればファンにとっても関係者にとっても願ってもない僥倖だ。
撮影/姉崎正