現在開催中の米女子ツアー「スウィンギングスカートLPGA台湾選手権」2日目、スコアを2つ落とし、通算1アンダー34位タイとなった渋野日向子。強風、そしてグリーンに苦戦する中、果敢に攻めた渋野のプレーを、プロゴルファー・中村修が現地からレポート!

強い海風、そして目のあるグリーンに悩まされた

現在開催中の米女子ツアー「スウィンギングスカートLPGA台湾選手権」。2日目、渋野日向子選手は2つスコアを落とし、通算1アンダー34位タイに後退してしまいました。まずは試合を流れをおさらいしてみましょう。

2日目はどんよりとくもっていましたが、幸い雨は降らず。昨日より風も弱い状態でのスタートとなった渋野選手。出だし1番ホール、いきなりバーディチャンスにつけます。しかし2メートルのパットが入らず、パーでスタート。

画像: 1番ホール、ティショットを打つ渋野

1番ホール、ティショットを打つ渋野

しかし2番ホール、525ヤードのパー5はフェアウェイウッドで2オンしてバーディ。3番ホール185ヤードのパー3でもチップインバーディを奪い、さっそく2打伸ばします。4、5番ホールでもバーディのチャンスを作るも、パットが入らず連続パー。初日に引き続き、グリーンに苦戦をしているようです。

続く6番ホール、493ヤードのパー5では、3打目でグリーン奥に切られたピンを果敢に狙うもオーバー。しかし、ふわっと浮かせるアプローチできっちり寄せてパーセーブに成功します。この辺りは、本人も課題としていたグリーン周りでのプレーにたしかな成長を感じられました。

7番ホールは、強いアゲンスト。悪いショットではなかったもののグリーン手前に落ち、イージーなアプローチを少しミスして1メートル強のパットを外してボギーとなってしまいます。このホールが勝負の分かれ目だったと言えるでしょう。渋野選手も試合後の会見で「7番で流れが途切れてしまった」と話しています。

画像: 9番ホールでは2メートルのバーディパットを外し、パーで前半を終えた

9番ホールでは2メートルのバーディパットを外し、パーで前半を終えた

朝はおとなしかった風も次第に強風へ。海に近い台湾コース特有の海風は強弱があり、コースの設計上ホールごとに吹く方向も変わります。試合進行は滞り、毎ホール前の組のプレーを待つような状態。集中力の維持も至難です。

前半を1アンダーで折り返しましたが、後半出だしの10番ホールで寄らず入らずのボギーを叩き、振り出しに戻ってしまいます。歩く渋野選手の顔を伺うと、表情には疲れが見えました。

それでも11番ホールではピンを果敢に狙っていく渋野選手。2メートル弱の位置につけるも、下りのスライスラインを外し、パー。

12番ホールもツーオンを狙って攻めますが、グリーン左のバンカーのふちへ外してしまいます。つま先下がりで、ボールはバンカー内、選手はバンカー外から打たなければならない、かなり難しいショット。やはり出すだけになってしまい、ボギーです。

画像: 12番ホールの3打目、厳しいシチュエーションからのバンカーショット

12番ホールの3打目、厳しいシチュエーションからのバンカーショット

しかし攻めの姿勢は崩すことなく、13番ホールはピン奥のカラーからアプローチでしっかり寄せてパー。14番ホールパー3はアゲンストの中良いショットを打って1.5メートルの位置につけ、バーディを奪います。

15番ホールは不運もあってダボ

続く15番ホールは389ヤード、左には池が配置された打ち下ろしのパー4。強風が収まるのを待ちますが、収まらず。ドライバーショットは風に煽られて右のカート道路へ流れてしまいます。

画像: 強烈な左からのアゲンストが吹く15番ホール、打ち下ろしのパー4。グリーン左手前には池が配置されている

強烈な左からのアゲンストが吹く15番ホール、打ち下ろしのパー4。グリーン左手前には池が配置されている

不運にも、カート道路付近は花壇がありドロップできません。仕方なくそのまま打ちます。ピンまで152ヤード、刻む選択肢ももちろんありました。しかし、「イーブンかアンダーパーでなんとか上がりたいと思っていた」(渋野)こともあって、5番アイアンでピンを狙っていきます。これが左の池に落ちてしまい、この15番ホールはダブルボギーとなってしまいます。

画像: 15番ホール2打目、カート道路からのアイアンショットに挑む渋野

15番ホール2打目、カート道路からのアイアンショットに挑む渋野

「前のホールでバーディを獲っていたし、冷静ではあったんだけど、そこからピンしか見えていなかった」(渋野)

渋野選手は試合後そう振り返っています。このままずるずると崩れてしまってもおかしくないところですが、風向きが読みづらい17番ホールはピン方向の奥に外すもナイスアプローチでパー。18番ホールでもアゲンストの中2オンを狙いますが、グリーンわずかに手前の位置へ落ちます。2メートル弱まで寄せますが、決めきれずにパーでホールアウトです。

2日目は3バーディ、3ボギー、1ダブルボギーの2オーバー。昨日よりショットの調子も少し悪そうでしたが、強風の中でもしっかりボールコントロールができていたのが印象的です。実はこれ、昨日の記事の最後にちらっと触れた、青木翔コーチとの“新しい取り組み”の効果が表れているようです。

「右足かかとが上がるのを少し抑えてスウィングすることで、インパクト時にボールを長く押せるような効果を狙っています。球の高さをコントロールしやすくなるので、風にも対応できます」(青木コーチ)

たしかに強風の中でも距離感は合っていたし、大きく曲げる場面も少なかったです。2人の取り組み通りショットは海風にも対応できていますが、初日と同様、パットに苦しめられる場面が多く見られました。グリーン芝芽があり、思い通りに転がってくれません。昨夜も辺りが真っ暗になるまでパター練習をしていましたが、まだつかみきれていないようです。海外での試合は2試合目なので日本とは異なる芝に対応することも大事な経験です。

ただ、スコアは落としたもののバーディチャンスにはつけられていて、パットで流れをつかめさえすれば十分スコアを伸ばせる内容のゴルフです。予選落ちなしの今大会、3日目、そして最終日のバウンスバックに期待したいですね。

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