今日の渋野選手のプレーを振り返ると、スタートの10番は幸先よくピンそばにつけバーディ。11番は二段グリーンの上に切られたピンに対して3パットのボギー。12・13・14番とアプローチを寄せてパーでしのぎ、連日鬼門の15番ホールは4メートルのバーディトライにつけるも入らず。16番もバーディチャンスが惜しくもカップにけられてパー。
18番パー5では2オンを狙った2打目を珍しくダフリ左の距離のあるバンカーに入れてしまい、そこからホームランしたものの5打目をカラーからチップインのパーで前半を終了し1バーディ1ボギーのパープレーで折り返します。
後半のスタート1番ホールパー4、2番パー5とバーディ、3番パー3をパーで抜けると4番でバーディとスコアを伸ばします。しかし、5番パー4でグリーン手前からアプローチをわずかにミスし1.5メートルのパーパットを外すと返しも外してダブルボギー。
ここで腐らずに続く6番パー5の3打目を高さをおさえたショットでピン手前につけバーディを奪います。7番パー3はパー。1オンが狙える8番パー4で右のバンカーに入れてしまいますが、そこから背丈以上の高さを越えピンに近いサイドからオッケーに寄せてバーディを奪います。
9番もピン奥からバーディトライしましたがパーで終わり、後半は5バーディ1ダボの2アンダー。本日は6バーディ1ボギー1ダブルボギーの3アンダー69でのラウンドとなりました。
今日の渋野選手は、ここまでの3日間と比べるとパッティングとアプローチが向上し、比較的好調を保っているショットと相まって「1週間の集大成としていい内容」(渋野)といえるゴルフでした。
今日の渋野選手は、先日から練習しているフェースを開いてやわらかい球を打つアプローチで寄せに成功する場面が増えました。日本とは異なるグリーンやグリーン周りに日に日に対応できるようになり大きな手応えがあったのではないでしょうか。
そして昨日まではまったく入らなかったパターが復調。2つの3パット(11番、5番)はあったものの、前半の9ホールではアプローチを寄せてパーでしのぐ展開でもスコアを崩さずに切り抜けられていました。
4日間吹き続けた強風下での距離感のコントロールも成長を見せました。青木翔コーチと取り組んでいる高さを抑えた球なども随所で披露し、実戦のなかで日々成長しているのは間違いありません。
とはいえ、優勝したネリー・コルダ選手は、18アンダーのビッグスコア。渋野選手自身「レベルの差を痛感しています」と言うように、大きな差を見せつけられたことも事実。ショット力は十分通用するレベルにあったと思いますがやはりその差は、パッティングとアプローチでしょう。
厳しいピン位置でもピンだけを狙って攻める渋野選手のプレースタイルにリスクはつきもの。ピンに近いエリアに外すと難しいアプローチが残ることになり、そこから寄せ切れずにボギーを打つこともあります。
しかしこれは「ブレずにピンを狙って行くゴルフを貫き、そこから必要なアプローチやショットのバリエーションを一つずつ増やしていくことが大事」という青木コーチの戦略通りのゴルフを実践してるから。ラウンド中はできないことはやらない、できることだけで精いっぱいのプレーをすることは二人の決めごとになっています。
メジャーチャンピオンとはいえ、渋野選手はまだツアールーキー。ピンから逃げてスコアを作るよりも、リスクを覚悟して逃げずに攻め、その結果何ができて何ができないかを身をもって知ることが大事な時期だということです。
海外のトッププレーヤ―のプレーを間近で見て感じることが今後の自身のレベルアップにつながることでしょう。その過程でのこのスコア、この順位と考えれば、悲観する必要は一切なく、伸びしろの大きさにこそ目が行くといえます。
今週は80人中39位タイと、結果の面では大きなインパクトは残せなかった渋野選手ですが、「しぶこスマイル」は、米ツアーのなかでも大きなインパクトを与えたようです。同組の選手やキャディたちから「いつもスマイルでいい選手だね。来年米ツアーに来るなら歓迎するよと言われた」と藤野圭祐キャディも語っており、駆けつけた日本人ファンだけでなく、現地台湾のギャラリーからも片言の日本語でたくさんの声援が送られていました。
主催者であるスウィンギングスカートファウンデーションの会長からも「ぜひ来年も参加してほしい」と言われたとのことで、渋野選手の人気は台湾でも広がりつつあるようです。
来週は、国内女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」に参戦する渋野選手。この試合は、いわばホームゲームに今週と同じUSLPGAのメンバーを迎える形。そこでどんなプレーを見せてくれるか非常に楽しみです。