「30(歳)にして体の調子は最高だよ」
2019〜2020年シーズン初のWGCイベント「HSBCチャンピオンズ」は、昨シーズンのフェデックスチャンピオンであり、前週行われた日本初開催のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」で3位に入ったローリー・マキロイが、ディフェンディングチャンピオンのザンダー・シャウフェレをプレーオフで下し今大会初優勝。今年4勝目を挙げ、米ツアー通算18勝目を飾った。
「毎週毎週、とても安定しているんだ。仮にベストのプレーができないとしても、少なくとも優勝のチャンスはある状態。先週の日本でも、終わって数日後に何かしら発見があって、こうして最高な形でフィニッシュ出来たよ」
もともと飛ばし屋でショットメーカーのマキロイだが、今年の好成績は毎週崩れることのない「安定感」から生まれていると語る。昔、ツアーデビューを果たした彼は、実際ツアーに出てみるといろいろと取り組まなければいけない課題は多く、意外と時間がないな、と思うようになった。そこで1打1打を100%全力で打つ、という心構えでショットに向かうようにしたのだという。そうすることでより1打に集中できるようになり、精神面においても強くなってきたのだ。
確かに以前の彼は、2位以下に大差をつけてぶっちぎり優勝することもあったが、2010年のマスターズのように、優勝のプレッシャーが重くのしかかってきた時や、少し精神的に追い詰められると一気に大叩きをして気持ちが切れてしまうことも多かった。
しかし今年の彼は違う。ある程度のスパンで好調の波は持続し、昨シーズンは出場19試合のうち、トップ10入りはなんと14回。70%以上の確率でトップ10入りしている。以前「前の週が成績が良くても、次の週がいいとは限らない。またその逆も然り。その週ごとに調子は変わる」と語っていたことがあったが、今年はその部分において、だいぶ調子の波が安定してきているように見える。長年若手と言われ続けてきたマキロイも今年で30歳。年齢とともに、メンタル面、技術面でも円熟味を増した“大人のマキロイ”が、再び今、世界ランク1位の座に返り咲くチャンスを迎えている。
「ここ18ヶ月でいろいろなことが解決できた。自分のゲームや道具などがしっくりくるようになり、体も健康になってきた。20代前半の頃は背中の痛みがあったからね。30にして体の調子は最高だよ。だからこれから先が楽しみなんだ」
「今年はあと1試合、ドバイの試合(欧州ツアー最終戦「DPワールド・ツアーチャンピオンシップ」)が残っているが、この試合で勝てば世界ランク1位の座につけるだけのポイントがもらえるのかどうかわからない。でも最高の形で2020を迎えるにあたり、年末までプレーしたいと思っているよ。ドバイの成績に関わらず、来年の初めから世界ランク1位にいられればいいね」
今回の優勝でフェデックスカップは1位に浮上したが、世界ランクはブルックス・ケプカに次いで依然2位。だが、ヒザの手術を行いCJカップでは途中棄権をしたケプカが、現在試合に出られる状態ではないので、鬼の居ぬ間に1位の座を狙う絶好のチャンスだ。このまま好調を持続し、ドバイの試合で優勝すれば、年明け早々に順位が入れ替わっている可能性も十分にある。2015年以来の世界ランク1位に返り咲く日は、そう遠くはなさそうだ。