松山以来のアマチュアV
ツアー史上4人目のアマチュアV。8年前東北福祉大の先輩である松山英樹が達成して以来の快挙に「松山さんにプロの試合で勝てといわれていました。よい報告ができてうれしいです」と筋トレの成果でひと回り大きくなった金谷は白い歯を見せた。
アジア太平洋アマに勝ってマスターズ(19年)の出場権を掴み、本番ではローアマのタイトルこそ逃したが予選を突破。そして今回先輩が残した偉大な足跡を踏襲しVISAで優勝と、まるで松山が歩んだ道をなぞるように金谷は進化を続けている。
アマチュア時代から圧倒的なパワーゴルフが持ち味だった松山と比べると飛距離は本人も「世界では物足りない」と感じているのだとか。だが正確なショットはプロにも引けを取らない。
大会のテレビ解説を務めた加瀬秀樹プロは「金谷くんはもうアマチュアの域から外れている」という。近頃の学生は強い選手が多いが加瀬プロは金谷を「別格」と評する。
それが現れたのは最終日のスタートホール。
「1打リードの状況で同組のショーン・ノリスとY.E.ヤンは迷いなくドライバーで飛ばしウェッジでグリーンを狙う選択をしています。でも金谷くんはティショットに3番ウッドを持ち、あえて(第2打の)距離を残す作戦に出た。それが一番自分に合っていると考えたのでしょう。結果ウェッジで狙った2人はパー。自分のゴルフに徹した金谷くんがバーディ」(加瀬プロ)
「もう1つ印象的だったのが最終18番。(同スコアで優勝を争っていた)ノリスがドライバーで飛ばしたのに対し金谷くんはそこでも3番ウッド。自分のゲームプランやコースマネジメントをどんな状況でも迷わず貫く。そこが彼のすごいところです」
その選択が結果イーグルに繋がり勝利を手繰り寄せた。
ゴルフは迷うことの多いゲームだ。クラブ選択にしても誘惑に満ち溢れている。しかしそこで自らのスタイルを貫けるのは相当な自信がある証拠。アマチュアのレベルを超えたアマ・金谷拓実が“ネクスト松山”になる可能性…? 低くないといわざるを得ない。今後の活躍に嫌が上にも期待がかかる。