最強アマチュア・金谷拓実の優勝で幕を閉じた「三井住友VISA太平洋マスターズ」。その最終日の模様を、現地で撮影していたカメラマン・姉崎正がレポート!

タイガーを彷彿とさせる勝利のガッツポーズ

三井住友VISA太平洋マスターズ最終日18番パー5のティショット。金谷拓実は予選ラウンドで得た教訓通り、3Wでフェアウェイ右に運ぶと、そこからアイアンでグリーンをとらえました。一方のショーン・ノリスは、1Wでフェアウェイ左に。そこからグリーンを狙うも、グリーン奥にこぼれました。

翌日、ノリス本人に聞くと「アドレナリンの影響はちょっとだけ。手前の池に入れないことが重要なショットだった」とのこと。2オンは逃しましたが、そこからの寄せはノリスが「一番上手い」と自負するパターで、見事OKバーディ地点に。

これを見てからの金谷のイーグルトライ。入れば優勝、外せばプレーオフ濃厚。18番を囲むみんなが見守る静寂の中……決めた! まるでタイガーの全盛期のようなアクションが全身から炸裂しました。

画像: 最終日18番ホール、イーグルパットを決めてガッツポーズする金谷

最終日18番ホール、イーグルパットを決めてガッツポーズする金谷

少しさかのぼって、前日の大会3日目。池田勇太が18番グリーンを終え、アテストに向かう途中。「アマに負けるなよ!」と声援とも激励とも発破とも聞こえるギャラリーからの声。

この日、「63」のコースレコードで首位に立った金谷拓実は後ろから6組目で、その次が池田勇太の組。その後、宮里優作、浅地洋佑、時松隆光、正岡竜二らが最終ホールに上がってきますが、トーナメントリーダーはアマチュアの金谷のまま、3日目を終えました。

私の心情としては、このギャラリーの声と同様の思いがありながらも、アマ金谷の優勝を見たいという気持ちもありました。むしろ、そっちの気持ちが強かったでしょうか。

11番のボギーでノリスとは2打差。万事休すと思われたが……!?

快晴の最終日。今週は連日富士山の頂が見える良い天候に恵まれました。1番ティから富士山が拝めるよう、樹木の整理がなされたようです。その1番ティに、最終組が来ました。Y・E・ヤン、ノリスが打ち、金谷は最後。「世界アマチュアランキング1位 東北福祉大学3年 金谷拓実」、スタートアナからのコールで最終日がスタートしました。

金谷、1番でいきなりのバーディです。幸先良し。ただ、先は長い、あと17ホール。ショートゲームの名手ノリスが相手です。貯金は早めに貯めておくに限ります。

画像: 1番ホールをバーディとし、上々のスタートを切った金谷

1番ホールをバーディとし、上々のスタートを切った金谷

2番で最終組の紅葉背景のティショットを撮り終え、隣の3番パー5のセカンド地点で池田勇太・正岡竜二・片山晋呉組を迎えます。前日のギャラリーの声に発奮する姿が見られるかな、と期待を持って。が、3日目にイーグルを決めた池田はボギー、正岡と片山はパー。このホールでスコアを伸ばせないのはきつい。

画像: 3番ホール、セカンド地点へ向かう左から片山、池田、正岡

3番ホール、セカンド地点へ向かう左から片山、池田、正岡

このままここで最終組を待ち、4番5番と追ってゆきます。5番と6番は富士山が選手と絡む美しいホール。5番のティショットは後方から、6番セカンドは左前方が富士山と絡むグッドアングルです。

画像: 5番ホール、富士山が映える絶好のアングルからの1枚

5番ホール、富士山が映える絶好のアングルからの1枚

7番パー3で戦況が変わりました。金谷ボギーでノリスがバーディ。今日初めて並びました。で、8番をともにバーディとしましたが、9番パー4で金谷が痛恨のボギー。ここで首位の座をノリスにゆずり渡しました。

で、11番パー4。パー5のホールをパー4に仕立てているこのホールを金谷はボギーとしてノリスとの差が2打にまで開きます。万事休す!

と思いきや続く12番でバーディを決めた金谷。これで1打差。13番を共にパーとした後の14番セカンド。金谷の球はバンカーへりのラフ、横ぶりショットを余儀なくされます。セカンドからは池越えのこのホール、パーセーブも至難と感じました。が、そこからナイスオンのナイスパー! この適応力恐るべし。鳥肌ものです。

画像: 14番セカンドショット、バンカーへりのラフから見事ナイスオン

14番セカンドショット、バンカーへりのラフから見事ナイスオン

そこからの金谷は鬼神のようでした。15番のワンオン可能なパー4ではティショットで1Wを振り抜きグリーン奥に乗せ、そこからバーディ。16番はセカンドショットを左サイドフェアウェイから乗せてバーディ。そして前述の通り18番のイーグルパットを決めての優勝。で、会心のアクションです。

掛け値のないこうしたプレーヤーの内から出る歓喜の姿を収める事は、私たちカメラマンの幸福でもあります。見事な勝利でした。

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