米女子ツアーは前週のCMEグループ・ツアー選手権をもってシーズン全日程を終え、優勝したキム・セヨンが年間女王に輝いた。賞金ランクトップ3が韓国勢、トップ10の半分が韓国勢とツアーの勢力地図は変わってないように思える。しかしじつはLPGA、地味に試合数&賞金額を増やしているのだ。

人気が低迷していた米女子ツアーを隆盛に導いた

10年にマイケル・ワン氏が新コミッショナーに就任した年、試合数はわずか23。アメリカ国内のスケジュールは半分程度で賞金総額200万ドル(2億超え)は8試合だった。

インターナショナルツアーを強調しアジアや南米に活路を求めたが人気は低迷。打つ手なしと思われていた。

しかしワン氏は地道にスポンサー集めに奔走し20年は33試合を開催するに至った。賞金総額は過去最高の7500万ドル(約80億円)、200万ドルの試合は10年前の倍の「16」まで増えている。

賞金総額2億円といえば国内男子ツアーの三井住友VISA太平洋マスターズやダンロップフェニックスなど米男子ツアーと共催のZOZOチャンピオンシップを除くと4試合しかないビッグイベント。それが女子の試合で「16」というのだからワンコミッショナーの手腕は相当なもの。

画像: 日本でも米女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」が開催されている。2019年の優勝者は鈴木愛だ(撮影/岡沢裕行)

日本でも米女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」が開催されている。2019年の優勝者は鈴木愛だ(撮影/岡沢裕行)

米ツアーと銘打つに相応しく開幕戦はフロリダ。ダイヤモンドリゾートトーナメントofチャンピオズとケインブリッジLPGAの2連戦を行い、シーズンを締めくくる最終戦のツアー選手権も例年通りフロリダで行われる。

タイやオーストラリア、バハマなどで開幕していた時代を思うと格段に“アメリカ”ツアーらしくなってきた。米国内開催は19試合と拡大傾向だ。テレビ放映権も年間500時間の契約を取り付けたワン氏は「これから長い道のりですが、現時点でいくつかの素晴らしい兆候があります」と語っている。

ワン氏の次なるミッションは欧州女子ツアーを傘下に入れること。試合数が減少しシード選手でも「
アルバイトをしないと食べていけない」とソルハイムカップのキャプテン、カトリオーナ・マシューが嘆くほどの惨状を救うべく、ワン氏は今週合併事業の提案を行うという。

道は1日にしてならず。しかしリーダーの舵取り次第でツアーは大きく変わるようだ。

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