来季の出場権を賭けた試合「ファイナルQT」。35位以内に入れば来季前半戦の出場権がほぼ手に入るというこの試合に挑んだ女子プロたちの姿を、現地で取材したプロゴルファー・中村修がレポート!

ファイナルQTで35位以内に入った選手は誰? 一覧表

ホールアウトして、レギュラーツアーへの出場権が獲得できずに涙を流す選手がいました。出場権を獲得し、安心して涙を見せる選手もいました。彼女たちの涙は、このファイナルQTの厳しさをなにより雄弁に語っているようでした。

画像: 吉田優利(左)が20位、西村優菜(中)が21位、安田祐香(右)が2位と上位につけたプラチナ世代の面々

吉田優利(左)が20位、西村優菜(中)が21位、安田祐香(右)が2位と上位につけたプラチナ世代の面々

プロテストと異なり、20位タイまでが合格、それ以下は不合格ということはありません。35位くらいまでに入れば来季前半戦にほぼ出られる。それより下の順位だと出られないわけではなく、試合によっては出られますが、賞金を獲得できる機会は限られ、それ以降の試合の出場権を決めるリランキングで上位に入るのは難しくなります。

それだけに、「35位以内」がこの大会の合言葉となっているのです。まずは35名を羅列してみましょう。

1位 フェービー・ヤオ
2位 安田祐香
3位 木戸愛
4位 東浩子
5位 仲宗根澄香
6位 木村彩子
7位 河野杏奈
8位 藤本麻子
9位 セキ・ユウティン
10位 西郷真央
11位 吉本ここね
12位 川岸史果
13位 山下美夢有
14位 ハン・スンジ
15位 沖せいら
16位 松森彩夏
17位 田中瑞希
18位 安田彩乃
19位 渡邉彩香
20位 吉田優利
21位 西村優菜
22位 山城奈々
23位 下川めぐみ
24位 工藤遥加
25位 アン・シネ
26位 小林咲里奈
27位 藤田さいき
28位 笹生優花
29位 竹内美雪
30位 前田陽子
31位 佐伯朱音
32位 ささきしょうこ
33位 ジョン・ジェウン
34位 吉川桃
35位 但馬友

終始安定していた安田祐香、吉田優利。最終日にまくった西村優菜、笹生優花

最注目は、2位にはいったプラチナ世代の安田祐香選手でしょう。注目を浴びる中、プロテストもファイナルQTも危なげなくクリアしてくるあたり、その実力には疑う余地がありません。

安田選手のライバルである西村優菜選手は3日目を終えて“圏外”から最終日に67というビッグスコアを叩き出し、21位に入ってみせました。吉田優利選手は終始安定したプレーでひとつ上の20位。笹生優花選手も最終日69とまくって28位に入りました。

画像: 笹生優花は最終日69と好スコアを出し、28位に入った

笹生優花は最終日69と好スコアを出し、28位に入った

それぞれ持ち味が違う彼女たちですが、共通するのは目標意識の高さです。それぞれナショナルチームに入って国際的に活躍し、レギュラーツアーにも何試合も出ていますし、同学年の古江彩佳選手はすでに勝っています。

かつては「レギュラーツアーに出るのが目標・夢」というのが当たり前でしたが、彼女たちは間違いなく「早くレギュラーで勝ち、さらに上を目指したい」と考えているはず。「出られたらいいな」という感覚ではもはやまったくありません。

とくに、西村、笹生の土壇場で伸ばしてくる力はまさしくプロ向き。非常に面白い選手たちがツアーに加わってきました。

2019年プロ合格組・河野杏奈の飛距離に注目

プラチナ世代と黄金世代の間の世代では、河野杏奈選手が7位でフィニッシュ。この選手と前出の笹生選手は飛距離260〜270ヤードの飛ばし屋。女子ツアーでいえば、穴井詩、葭葉ルミ選手クラスの飛距離を持つ彼女たちのドライバーに、来季は注目です。

その河野選手が面白いことを言っていました、ここまでに名前を挙げた選手はすべて今年のプロテスト合格組ですが、彼女たちには初めからステップアップツアーの出場権が与えられています。それだけに、「ダメでもステップには出られるし、上に行けばレギュラーに出られる」(河野)と、ある意味気楽な気持ちでプレーできたというのです。

もちろん、ファイナルQTまで進出した時点でステップにはほぼ出られるのですが、心理的なわずかなアドバンテージが、のびのびとしたプレーにつながったのかもしれません。リーダーボードには、2019年プロ合格組の名前が35位以内に多く見られました。

川岸史果、松森彩夏、渡邉彩香らが見事に復活!

そんなフレッシュな選手たちに負けない活躍を見せたのが、木戸愛(3位)、川岸史香(12位)、松森彩夏(16位)、渡邉彩香(19位)といった優勝経験のある実績組です。今年賞金シードを失った木戸選手はともかく、川岸、松森、渡邉といった選手たちは不振を経験し、それを跳ね返してここまでたどりつきました。

今年シードを落とした選手でいえば、4位で通過した東浩子選手は今季自身の最終戦となった大王製紙エリエールレディスで予選を通過したものの、たった1打の差で、賞金シードをギリギリ失い、ファイナルQTに来ることになりました。

本人は、そのことで「1打の重みを知った」ことが、4位という上位フィニッシュにつながった。ここに来ることは自分にとって必要なことだったとコメント。来季、さらに強くなった姿を見せてくれそうな予感がします。

西郷真央、山下美夢有の高校3年生組も来季前半からレギュラーツアーへ

他にも優勝経験者、ベテランたちが35位以内をつかみとる一方、現役高校3年生世代の西郷真央(10位)、山下美夢有(13位)両選手も好順位を残しています。

また、今シーズンの稲見萌寧選手のように、前年のQTに失敗しながら、主催者推薦でリランキング上位に入り、優勝まで漕ぎ着けるという選手だって必ずや出てくるはずです。なにしろ、渋野日向子選手は昨年のQTで40位だったわけですから。

画像: 西郷真央はトータル5アンダーでフィニッシュし、10位に入った

西郷真央はトータル5アンダーでフィニッシュし、10位に入った

高校3年生世代に、ひとつ上のプラチナ世代、そして捲土重来を期す実力者たちも来シーズンの女子ツアーには押し寄せます。この中から勝利を挙げる選手も出るでしょうし、賞金シードにも何人も食い込んでくるでしょう。

たったの50しかない女子ツアーの賞金シード。その少ない椅子を争う椅子取りゲームは、本当に過酷なものになってくると思います。寒風吹きすさぶ中、来シーズンの女子ツアーの戦いの厳しさが、早くも予感される今年のファイナルQTでした。

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