2024年5月、ランカスターカントリークラブで開催された女子メジャー「全米女子オープン」。その大会で日本人では初となるメジャー2勝目(2021年に続く)を飾った笹生優花。日本に帰ってきた彼女に旧知の記者が話を聞いた。
 
前編ともいうべき「月刊ゴルフダイジェスト」のインタビュー記事を読む

――ジャンボ尾崎プロのほかに、教わっている人は?
 
笹生: ジャンボ邸で道具やスウィングを学んで、アメリカに行っても、2人のコーチからゴルフを学んでいます。そこでも体のことが大事だなと思い始めて、体やスウィング、クラブ、すべて理解してこそ、ゴルフはまとまるんだなっていうのを思うようになりました。まだまだすべてを理解したわけではなくて、一歩前に出られたのかなって思うぐらいですが、ちょっとずつ前へ進んでいます。

――それは、目指すゴルフをひとつの円と考え、足りない部分を埋めていく作業を行っているようなことですか?
 
笹生: そうですね。引退する前に全部を理解してできるようになるのか、引退してからできるようになるのかはわからないですけど、そういうことをやろうとしてる自分がいます。今はそれでゴルフをすごく楽しめているんじゃないかなと思います。

――それが努力であり、楽しさなんですね。なかなかプライベートの時間とかは作れない?
 
笹生: 実は、メンタル面とか、ゴルフをやっていく中で、わからなくなっちゃう時があるんですよね。ゴルフ全体的なこともあるし、スウィングに関してが多いんですけど、すぐに良くなることもあれば、気づいたらちょっとやばいことになってる時もあるので。
 
そういう時はしっかり休みを入れて、一旦ゴルフから離れます。本当にクラブを握らない時もあるほどです。フィーリングを全部なくして、またイチからスウィングをやり直します。ゴルフ以外ではあまり外に行くことがないので、近くに住んでいる友達とゴルフの話をすることが多いですね。先輩プロたちにいろんな話を聞いてもらうこともあります。

――お友達っていうのは、仲のいいミンジー・リー選手とかですか?
 
笹生: そうですね、ダラスに住んでいるミンジーさんもそうですけど、チョン・インジさんとかもいますし、世界のトップ選手がたくさんいます。プロゴルファーのことを理解できるのはやっぱりプロゴルファーだと思うので、相談できる方たちが近くにいる環境は恵まれていると思います。女子選手だけでなく男子の(ローリー・)マキロイさんとかもそうですけど、 みんな、正直に真正面に答えてくれるので、先輩たちに恵まれています。

――先輩たちにもらったアドバイスだったり、心に響いたりした言葉は?
 
笹生: ゴルフでは一緒に練習することが多いミンジーさんにはよく声をかけてもらっています。練習してると、「最近、ゴルフ全然ダメだよね」ってふつうに言ってくれるんです。「そうだよな、頑張ろう」ってやる気にさせてくれます。自分でも薄々感じていても、 自分が一番信用してる選手や先輩に言われると、頑張らないとって思わせてくれるんです。

画像: 先輩プロに恵まれていると話す笹生。ジュニア育成にも力を入れており、彼女を「良い先輩」と慕う後輩が出てくることは間違いないだろう

先輩プロに恵まれていると話す笹生。ジュニア育成にも力を入れており、彼女を「良い先輩」と慕う後輩が出てくることは間違いないだろう

――ただ頑張れじゃなくて、実はダメなところもわかってくれてるっていうのがありがたいと。
 
笹生: 真剣に話しをするのではなくて、「最近全然ちょっとダメだよね」とか、 そのぐらいの感じです。一緒にアプローチしているときには、 「そういうの下手だよね」って(笑)。そんなちょっとした一言で、「アプローチを集中して工夫してみようかな」と気づかせてくれるんです。

――「下手」って言ってもらえるプロ同士の関係がいいんですね。
 
笹生: はい。ゴルフ以外でも家の管理の仕方だったりとかを聞いたりもします。ちょっとしたアドバイスですが、生活面でも相談に乗ってもらえることは多いです。

――25年シーズンは、お父さんが今までのようにずっと帯同しないと聞いたんですが。
 
笹生: はい。USLPGAの今のスケジュールはすごくハードなので、お父さんの体調を考えて、メジャー大会など大きい試合だったりとか試合を選んで来てもらうことになると思います。ダラスの家もあり、ずっと来なくなるわけではないので。お父さんが来ないときでも、チームで動けるような形にできればと思います。

――食事面の心配は?
 
笹生: 食事はそんなに問題ないです。しっかり野菜やビタミンが取れればそれでいいかなっていう感じです。スイーツはすごく好きなんですけど、我慢してるんです。そのぶん、野菜をいっぱい食べるようにしています。

――チームといえば、パッティングコーチもいるとお父さんから聞いたんですが。
 
笹生: ジャスティン・トーマスさんの元のコーチで、今もまだPGAツアーでいろんな選手を見ている方(編集部注:ジョン・グラハム)です。たまたまキャディさんが知り合いで23年の5月ぐらいですかね。それから勉強するようになりました。技術や感覚的なことも教わるんですが、本当にイチから学びたいと考えています。

――スウィングや体、メンタルなどを理解していくなかで、パッティングもピースを埋めるためのひとつになると。
 
笹生: そうですね。芝や傾斜の読み方だったり、今はまだ勉強中です。このグリーンではなんで転がりに変化が出るのかだったりとか、ちょっとずつ理解できるようになりました。理解できるようになるとグリーン上で落ち着くんですよね。落ち着きがあるとストロークも良くなると思うので、数年前と比べたらパッティングのデータも良くなってるんじゃないかなって思います。

画像: 理想を「ゴルフのすべてを理解すること」という笹生

理想を「ゴルフのすべてを理解すること」という笹生

引退する前か引退したあとか、ゴルフのすべてを理解して説明できるプロゴルファー像が理想と話す笹生優花。

25年シーズンは、全米オープン3度目の優勝や次なるメジャー制覇を目指して、今週、レークノナG&CCで開催されるシーズン開幕戦「ヒルトン・グランド・バケーションズトーナメント・オブ・チャンピオンズ」からスタートを切る。

撮影/南しずか

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