明日幕をあける米国選抜と欧州を除いた世界選抜の対抗戦、ザ・プレジデンツカップ。4回目の出場となる松山英樹は、台湾のC.T.パンと組んで初戦に臨む。その相手はマスターズ王者パトリック・リードと、ウェブ・シンプソンというメジャー覇者タッグ。早くも駆け引きが始まる戦いの裏側を、ゴルフスウィングコンサルタント・吉田洋一郎がレポート。

初戦はタイガー・ウッズ主将が自ら出陣

プレジデンツカップは、組み合わせが決まる段階から駆け引きがスタートします。欧州選抜と米国選抜が、5つのマッチに誰を送り出すか、交互に発表していくのですが、まずマッチ1にアーニー・エルス主将が送り出したのはマーク・リーシュマンとホアキン・ニーマン組。

画像: タイガー・ウッズ率いる米国選抜チーム

タイガー・ウッズ率いる米国選抜チーム

地元オーストラリアのベテランと、今年PGAツアー初優勝を挙げたチリの新鋭の組み合わせですが、米国代表のタイガー・ウッズ主将がそこにブツけてきたのは、なんとジャスティン・トーマスと“選手”タイガー・ウッズの米国最強ペア。初日の初戦は絶対に獲る。そして流れを米国に一気に引き寄せる。そんな意図を感じます。その流れで、

<マッチ2>
【米国選抜】ザンダー・シャウフェレ&パトリック・カントレー
【世界選抜】アダム・ハドウィン&イム・ソンジェ

<マッチ3>
【米国選抜】ブライソン・デシャンボー&トニー・フィナウ
【世界選抜】アダム・スコット&アン・ビョンフン

と、次々に組み合わせが決まっていくのですが、相手が先に発表するたびに、キャプテンと副キャプテンたちがテーブルで2分くらい打ち合わせし、誰を送り出すかを決めていきます。向こうの手の内を読みながら、出すべきカードを決めていく。プロ野球のドラフト会議とか、そんなイメージですね。

注目のパトリック・リードの相手は松山英樹

残るマッチは2つ。マッチ4にタイガーが送り出し、それを受けてエルスがチョイスしたのがこのメンバーです。

<マッチ4>
【米国選抜】パトリック・リード&ウェブ・シンプソン
【世界選抜】松山英樹&C.T.パン

<マッチ5>
【米国選抜】ダスティン・ジョンソン&ゲーリー・ウッドランド
【世界選抜】ルイ・ウーストハイゼン&エイブラハム・アンサー

画像: カートを自ら駆るエルス主将が見つめるなか、アイアンショットを放つ松山英樹。初戦の相手はパトリック・リード組だ

カートを自ら駆るエルス主将が見つめるなか、アイアンショットを放つ松山英樹。初戦の相手はパトリック・リード組だ

改めて米国選抜の顔ぶれが凄すぎますね。対する世界選抜は初出場が12人中7人もいて、エルスがベテランと若手を上手く組み合わせてきたという印象です。4回の出場を誇る松山選手は、この中では実績組という分類。中心選手という位置付けです。

初戦の相手は先週の「ヒーローワールドチャレンジ」でバンカー内のライを改善したとして2打罰を後から課せられたことが大きな話題となった“問題児”パトリック・リード。タイガーが出る初戦と並び、非常に注目度の高いマッチになりそうです。

C.T.パン選手は小柄で飛距離も285ヤード前後と出ない選手。ただ、小技は上手く、ドローとフェードも自在に打ち分けていました。2019-2020シーズンでは勝利も挙げていますし、松山選手と上手く噛み合えば、もちろん勝機は大いにあると思います。

エルス主将も気合十分

さて、ここまで12大会で1勝1分10敗と大幅に負け越している世界選抜ですが、エルス主将は気合が入っています。組み合わせ発表に先駆けて、松山選手はC.T.パンと二人で練習ラウンドをプレーしていましたが、そこには自らティショットの狙うべきルート、予想されるピンポジ、バンカーの打ち方などを“指導”するエルスの姿がありました。C.T.パンにはパターの打ち方までジェスチャーで教えていましたから、やる気マンマンという印象です。

画像: アーニー・エルス率いる世界選抜チーム

アーニー・エルス率いる世界選抜チーム

その全盛期のキャリアのほとんどがタイガー・ウッズと丸かぶりだったエルス。もしタイガーがいなかったら勝てた試合、勝てたメジャーはひとつやふたつではないはず。本人も、以前インタビューで「もしタイガーがいなかったら絶対にもっとメジャーに勝ってただろう」と語っています。

だからこそ、タイガーがキャプテンの米国選抜には負けたくない。そんな気持ちはきっとあるんだと思います。選手を乗せてカートの運転手までしていましたからね(笑)。

12大会で1回しか勝っていない世界選抜ですが、唯一の勝利を挙げたのが21年前の第3回大会。その時の舞台が、今回の開催コースであるオーストラリアのロイヤルメルボルンGCです。21年前の再来なるか。大会は明日、幕を開けます。

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