ヘンリク・ステンソンといえば、ドライバーショットに問題を抱え、ティショットで3番ウッドを多用することで有名。ではドライバーが苦手なアマチュアゴルファーにとってドライバーの代わりになるクラブはあるのだろうか。ゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが考えた。

タイガー・ウッズがホストを務める「ヒーローワールドチャレンジ」。今年の優勝者は伏兵、ヘンリク・ステンソンだった。ステンソンと言えば、彼の代名詞とも言える「ディアブロオクテインツアー」の13度を10月に手放ししたばかりだった。

ご存知のように、ドライバーに問題を抱えるステンソンは、この13度のウッドをティショットで多用する。2017年にはフィル・ミケルソンとゴルフ史に残る死闘を演じて全英オープンを制し、リオ五輪では銀メダルを獲得した。

どちらの試合もこの13度ウッドが大活躍した。このクラブでティショットをフェアウェイに運び、リズムを作っていくのがステンソンのプレースタイルなのだ。ドライバーもバッグに入っているが、使うとだいたい曲がっていて、トラブルを招いてしまっている。

画像: ステンソンが9年間愛用し続けた3番ウッド「ディアブロオクテインツアー」が2019年10月に破損してしまった(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

ステンソンが9年間愛用し続けた3番ウッド「ディアブロオクテインツアー」が2019年10月に破損してしまった(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

そんなステンソンの右腕とも言える「ディアブロオクテインツアー」が、10月にフェースが陥没してしまい、手放すことになったという。このクラブは2011年発売で、すでにスペアもなく、ステンソンは最新モデルの「エピックフラッシュ サブゼロ」の3番ウッドを代わりに入れた。「ヒーローワールドチャレンジ」での勝利は、この新しいクラブによって、もたらされたものだ。

クラブを変えても勝てるのなら、食わず嫌いせずにもっと早く最新クラブに変えれば良さそうなものだが、ステンソン自身は「優勝争いの真っただ中で、最終日最終ホールのティイングエリアにいると思ってほしい。そんなとき、2日前に選んだクラブを使いたいと思うか? 5000発打ったクラブがいいと思うはずだ」とコメントしていて、クラブへの愛着や信頼を大事にしているようだ。そういえば、アイアンも日本限定発売の「レガシーブラック」を長く愛用している。

10月にステンソンは、愛用した3番ウッドとの別れを、泣いている顔文字とともにツイートしている。長年連れ添い、多くの試合をともに戦い、何度も栄冠に輝いたいわば戦友のようなクラブ。レベルは違えど、その別れの辛さはアマチュアにも想像できるのではないだろうか。

ドライバーは苦手、それも大慣性モーメントを誇る現代の大型ヘッドがダメというゴルファーは多い。ステンソンがそうであるように、レベルの高いゴルファーであっても、ドライバーの大きさを持て余している例は少なくない。そこで、ステンソンのように3番ウッドなどでティショットをするのは、一つの解決策としてあり得る方向性だ。最近のスプーンは飛距離性能が高いのでなおさらだ。

画像: 「ディアブロオクテインツアー」はステンソンが9年間連れ添った相棒

「ディアブロオクテインツアー」はステンソンが9年間連れ添った相棒

しかし、スプーン自体がティアップしてもそれほど簡単なクラブではないのが難しいところだ。ヘッド体積は160〜180ccくらいでドライバーとは比較にならないほど小さい。当然、ミスヒットや曲がりに弱い。ドライバーにはない振りやすさはあれど、打ちこなすにはそれなりのスウィングの安定が必要だ。

筆者は、それほどドライバーが苦手ではないが、狭いホールやドライバーだと飛びすぎるレイアウトなどで、短い番手でのティショットを色々と模索してきた。古くは、プロギア「ズームi」に代表されるアイアン型のUT、テーラーメイド「RBZ」に代表される飛び系スプーン、最近ではドライビングユーティリティと呼ばれる、フォーティーンの「UT716」16度を使ってみたりしたが、どうしても個人的にはピリッとしないのだ。

画像: フォーティーン「UT716」はドライビングユーティリティとも呼ばれる

フォーティーン「UT716」はドライビングユーティリティとも呼ばれる

一般的なアマチュアにとって、スプーンを上手く打ちこなすのは簡単ではない。そして同様に、アイアン型UTも歯ごたえのあるクラブだ。ロングアイアンがビシッと打てるくらいの技量がないと、狭いロケーションでティショットを成功させるのは、難しいだろう。ウッド型のUTはそれに比べるとやさしいが、ロフト角が20度よりも小さく、シャフトが長くなったウッド型UTは、パワーと技術が必要だ。

スプーンもダメ、UTもダメということで、新たに試してみたのが、ヘッドの小さい、いわゆるミニドライバーだ。次回は、日本でもようやく登場したミニドライバーの使い勝手について紹介したい。

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